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*DLC要素あり
「李典の新衣装は、警察?」
彼女は俺の衣装をまじまじと見ながらそう言い放った。
「まぁマジシャンでも軍人でもないしな、多分そうだろうよ」
「なんだか頼りなさそう」
その言葉にむ、となる。
なんだ、俺だって本気出せば野盗も殺人鬼も捕まえるんだぞ。お手の物すぎて、もしかしたら海外に来てくれと言われるかもしれない。
そんなことを言い張ると、彼女は深いため息を落として恥ずかしそうに俯いた。
「どうしたんだ?」
「ん、なんでもない」
「なんでもなくねえだろ」
うーん、と頭を悩ませ、頭を掻いた。
やがて彼女は顔を上げると、背を伸ばして俺の頭にかけていたサングラスを下ろす。その瞬間、レンズの向こうから聞こえる笑い声。
急いで外し、彼女を見つめた。
「なんだよ!」
「見ちゃダメ、捕まえられるから!」
「……ふーん、なるほどな。閃いたぜ、俺」
もう一度サングラスを下ろすと、少し曇っているが彼女の顔が見れるようになる。体を抱き寄せても、何をしても抵抗されない。
これはなんて素晴らしい道具なんだ。
「り、李典ってば!」
「っと、おあずけか」
素晴らしいと思った瞬間、彼女を取り上げられる。むすっとしてサングラスを外すと、それを彼女にかけさせた。
突然の暗くなる視界にふらふらとするようだ。体を支えてやると、そのまま俺に身を預けてくれる。
「ん、このまま」
「どうしたの、李典」
がっちり腰に手を回すと、彼女はサングラスをしたまま俺の方を見上げた。そのとき、サングラスを取ってやる。大きく開かれた瞳に、俺が映った。
「ちょっと何して、」
「逮捕完了、だな」
「り、李典ってば!」
抜け出そうにも、腰はがっちりとホールド。それでも暴れるものだから、サングラスをそこらへんに投げて、余った手で顎を掴んだ。
「目、逸らすなよな」
「……臭い台詞」
「本気だって、分かるだろ?」
「……うん」
導かれるように口付けをしようとする。重なる前に、やはり恥ずかしがった彼女は俺の胸に顔を埋めた。
衝動で後ろに倒れると、そのまま壁へ押される。
「……逮捕の仕返し、」
「腰は逮捕されてるけどな」
「黙ってて」
そう言って彼女は俺をきつく睨むと、俺のシャツの襟元を引っ張ったのだった。口付けを一つ、お土産として。
顔を離すと、一言。
「サングラス、割れてる」
「げ」
張遼の野郎に怒られるに決まっている。
そう思うとため息がこぼれた。
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