短編 | ナノ

 01


*DLC要素あり


「李典の新衣装は、警察?」

彼女は俺の衣装をまじまじと見ながらそう言い放った。

「まぁマジシャンでも軍人でもないしな、多分そうだろうよ」

「なんだか頼りなさそう」

その言葉にむ、となる。

なんだ、俺だって本気出せば野盗も殺人鬼も捕まえるんだぞ。お手の物すぎて、もしかしたら海外に来てくれと言われるかもしれない。

そんなことを言い張ると、彼女は深いため息を落として恥ずかしそうに俯いた。

「どうしたんだ?」

「ん、なんでもない」

「なんでもなくねえだろ」

うーん、と頭を悩ませ、頭を掻いた。

やがて彼女は顔を上げると、背を伸ばして俺の頭にかけていたサングラスを下ろす。その瞬間、レンズの向こうから聞こえる笑い声。

急いで外し、彼女を見つめた。

「なんだよ!」

「見ちゃダメ、捕まえられるから!」

「……ふーん、なるほどな。閃いたぜ、俺」

もう一度サングラスを下ろすと、少し曇っているが彼女の顔が見れるようになる。体を抱き寄せても、何をしても抵抗されない。

これはなんて素晴らしい道具なんだ。

「り、李典ってば!」

「っと、おあずけか」

素晴らしいと思った瞬間、彼女を取り上げられる。むすっとしてサングラスを外すと、それを彼女にかけさせた。

突然の暗くなる視界にふらふらとするようだ。体を支えてやると、そのまま俺に身を預けてくれる。

「ん、このまま」

「どうしたの、李典」

がっちり腰に手を回すと、彼女はサングラスをしたまま俺の方を見上げた。そのとき、サングラスを取ってやる。大きく開かれた瞳に、俺が映った。

「ちょっと何して、」

「逮捕完了、だな」

「り、李典ってば!」

抜け出そうにも、腰はがっちりとホールド。それでも暴れるものだから、サングラスをそこらへんに投げて、余った手で顎を掴んだ。

「目、逸らすなよな」

「……臭い台詞」

「本気だって、分かるだろ?」

「……うん」

導かれるように口付けをしようとする。重なる前に、やはり恥ずかしがった彼女は俺の胸に顔を埋めた。

衝動で後ろに倒れると、そのまま壁へ押される。

「……逮捕の仕返し、」

「腰は逮捕されてるけどな」

「黙ってて」

そう言って彼女は俺をきつく睨むと、俺のシャツの襟元を引っ張ったのだった。口付けを一つ、お土産として。

顔を離すと、一言。

「サングラス、割れてる」

「げ」

張遼の野郎に怒られるに決まっている。

そう思うとため息がこぼれた。






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