今日は7月7日――そう、七夕や。 彦星と織姫が一年に一度会える日、それが今日。 春風の住んどる街で七夕祭りっちゅーのがあるらしい。 それに今年の七夕は休日ということもあって、金曜日から春風の家に泊まりに来とる。 春風曰く、七夕祭りって言っても普通の祭りと大差は無く、大きな笹があるぐらいしか七夕っぽくない、とのこと。 日も落ち始めた頃、俺らは家を出て、祭会場に向かった。 会場に着くと、係人と思われる人から短冊を渡された。 黒「蔵は短冊に何書くか決めたか? 白「ん?まだ決めてへんよ。そういう春風は決めたんか? 黒「いや、俺もまだ決めてない。 春風はにっこりと笑って答えてくれた。 その可愛さは言葉では言い表せへん、それぐらい可愛ええ笑顔。 その後いろいろな屋台を回った。 春風の言うとった通り、何の変哲もない屋台ばかりやったけど、春風と一緒やったからか退屈することはなかった。 りんご飴やチョコバナナ食べたり、水風船釣りやったりと祭を満喫しとった。 こんなことやったら浴衣用意してくればよかったな、なんて思ってみたり。 夜も更けてきて、短冊を笹に飾って帰ろうということになり、笹のある場所を目指す。 笹を見ると、既に大量の短冊が飾られていた。 笹の低い位置にはもうこれ以上飾れないみたいやったけど、少し高めだと多少の隙間があった。 けど、俺の身長じゃ届かへん。 どないしよ…と思っとったら、 黒「蔵、短冊貸して。 白「お、おん… 春風に短冊を渡すと、さっき俺が届かなかった場所に短冊を吊るした。 悔しいけど春風のほうが背も高いし、腕も長い。 俺かてそんなに背が低いわけでもあれへんのになぁ… 少しだけ、自分の背の低さを恨んだ。 ふと、ある事を思い出した。 春風、短冊飾るとき俺の短冊の願い事見たんかな… 白「なあ春風、俺の短冊見た…? 黒「え、別に見てねぇけど… 白「正直に言うて、見たん? 深く詮索してるが、決して人に見られちゃまずい事を書いたわけではない。 でも見られたら恥ずかしいからな… 黒「…悪ぃ、見た。 春風、落ち込む顔も可愛ええなぁ… これだけで許しちゃってもええんやけど、春風の願い事も気になるやろ。 白「別に気にしてへんけど、春風は何お願いしたん? そう聞いてみると、春風の頬が紅く染まっていく。 その表情から、どんな事書いたか予想はつくが、春風の口から聞きたいやん? 白「な?春風、教えてや? 黒「…いつまでも蔵と一緒にいられますように、って書いた 何や、俺と書いとること同じやん。 それを聞いて嬉しくなった俺は人前ということも忘れ、春風に抱きついた。 黒「ちょ、蔵…//// 白「そんな願い事せんでも、ずーっと春風と一緒におるで? 黒「く、蔵だって似たような事書いてただろ!/// 白「あー、聞こえへん、聞こえへん。 そんなやり取りをして2人して笑いあって、端から見たら、ただのバカップルやな。 ま、そんなこと俺は全然気にせえへんけど。 そのまま俺らは手ぇ繋いで家に帰った。 また来年も再来年も一緒に行こうな、春風。 七夕ネタとか遅すぐるぜ… |