小説 | ナノ
もしも本当に神様がいるのなら
どうか…
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「「真奈」」
名前を呼ばれた気がして、パッと目を開ける。
すると、今までに見たこともない程の綺麗な花畑に立っていた。
空はどこまでも青く、雲一つない。足元には色とりどりの花が咲きほこり、柔らかい風に揺れている。
はて、私はこんなところで何をしていたんだっけ…?
そう思った、その時。
背後からたくさんのピンク色の小さな花びらが、風に乗って運ばれてきた。
振り向くと、少し小高い丘の上に、一本の立派な桜の木を見つけた。
そして、その満開の木の下から、こちらを見ている二人に気づいた。
「おーい!おめぇもこっちに来てみろよー!すんげぇぞー」
底抜けに明るい性格を良く表しているその声を聞いた瞬間、これは夢なんだと理解した。
顔はハッキリとは見えないが、二人に気づいた時からその正体は分かっていた。
あの綺麗な銀髪に、鮮やかなオレンジの服。大好きな二人に、気づかないはずがない。
だが、それは私の願望で、人違いかもしれないと思った。
しかし、声を聞いて確信した。
これは、夢だ。
ついに。
ついに私は、死の間際に、今まで何度願っても、 一度も見ることの叶わなかった二人の出てくる夢を、見ることができた。
感動と混乱で唖然と立ち尽くしている私に、突如影が落ちた。
「大丈夫ですか?どこか具合が悪いんじゃ…」
いつの間に近くに来ていたのか。
額当てで左目を隠してはいないが、口布をしているため、ほぼ目しか見えない。しかし、眉をハの字にして、いかにも心配していますという顔をして目線を合わせてくれていた。優しいお方だ…
て、え…左眼が写輪眼じゃない!それに、これ上忍のじゃなくて、火影就任後の忍服だわ…え、待ってイケメン過ぎて心臓が痛いんですけど。
って、こんなこと考えてる場合じゃないでしょ!(ここまでで約0.8秒)
「い、え…大丈夫、です」
「そうですか。よかった。でも、念のため日陰にいたほうがいいと思いますよ」
さ、こちらへ、と、あのカカシとお話をしている!と心臓バクバクで片言になってしまったかっこ悪い私を、笑うでもなくさりげなく日陰に案内してくれるこの人は、本当によくできたお方だ。
流石は火影様。例えその先が地獄だとしても、どこまでもついて行きます。
導かれるまま桜の木の下にやってきた。近づく毎に、その大きさに圧倒されるほど、本当に大きく、立派な桜だ。
さっき誘ってくれたのに返事もしなかったことを謝らなければと、カカシにお礼を言ってからもう一人のほうに体を向ける。
「先程はお声がけくださったのに返事もせず、申し訳ございませんでした。あまりにも感動的な光景に見惚れてしまって…」
「はは、気にすんなって!すげぇもんな!オラも、こんなに立派な桜の木を見たのは初めてだぞ」
「俺もここまでのは見たことないな…」
感動的なというのは、カカシと悟空の二人が並んだこの光景のことである。
が、2人の言うことも最もなので、否定はしない。
それにしても、かっこいい…
まず、悟空の筋肉がすごい。
マッチョな人は服を着たら太って見えるとか思ってたけど、悟空は例外。素晴らしい筋肉です。
かっこいい。触りたい…
私が変態的なことを考えているなんてつゆ知らず、首を傾げながらニカっと笑ってくれる。
ああそうそれ、笑った顔なんて天使級にかわいくて…
いやもう天使。生まれてきてくれてありがとう。
目が幸せで溶ける。
でも、その笑顔は脳内メモリーに焼き増しして大事にしまっておかせていただきます。
そしてカカシ。はいもうイケメンの中のイケメンですよね。ありがとうございます。
いや、火影就任後ということは…イケオジ?
ま、カカシは歳がいくつでも、どんな姿でも、どんな服を着ていてもかっこいいけど。
私のイチ推しは火影の羽織り着た時のお姿です。
かわいさとかっこよさと威厳の絶妙なハーモニーが素晴らしかったです。もう一度見たい。
お願いしたら変化してくれないかな…
いや、これは私の夢なんだから、脳内変換してくれるはず…
などと、周りの花畑に負けずとも劣らない脳内お花畑で、私は幸せな気持ちを噛み締めていた。
すると、いきなり悟空が自己紹介を始めた。
「あ、そうだ!オラ悟空!孫悟空ってんだ!それと…カカロット。おめぇたちは?」
もちろんお二人とも存じております。
なんて言う勇気はない。
「はたけカカシです」
「私は、幸田真奈です」
「カカシに真奈、な…よし、覚えたぞ!」
それにしても、カカロットですって?
それにその言い方…あぁもう最高。このまま死ねる。いや、もったいないからまだ生きていたい!
あの悟空に名前を呼んで貰えて、しかも覚えて貰えたなんて…夢って本当に素晴らしい。
「ははは、ありがとうございます。俺も覚えましたよ。いやーそれにしても、本当に綺麗な所ですね。ま、何故ここにいるのかは分かりませんが…」
「オラ、二人が来る前からココにいたんだけんど、ココが何処なのかとかは分かんねぇなー」
「…え?」
ここは私の夢なのだから、分からなくて当然…
いや、その前に、私の夢なのに二人が困ってるってどういうこと?
しかも、私より前からここにいるって…?
え、じゃあ、ここは…何処なの?
もしかして、私はもう死んでて、二人も死んでて…
ここは天国、とか?
いやいや、二次元と三次元の天国が一緒とかありえるのか?絶対おかしいでしょ。
でも、そしたらこの現象はどういうことなのか…
「「真奈!!」」
「っえ!?あ、はい!」
「体が…!」
「でぇじょうぶなんか!?」
その言葉で、私の周りにキラキラとした光が舞っていることに気づいた。
自分の体を見ると、その光は私から発生していた。
だんだんと体が透けていく。
なるほど。
これは神様が最期にくれた、しあわせなゆめ、なんだ。
なぜか一瞬でそう理解することのできた私は、一度目を閉じる。
それから、最期の瞬間まで2人を見つめていられますようにと願いながら、大好きな二人に笑顔を向ける。
もしも
二人がいつか、今この時を思い出して
そこに私もいるのなら
笑顔の私を、覚えていてほしいから
「ごめんなさい。私の最期の夢に、付き合ってもらっちゃって。」
「へ…?」
「それは…どういうことです?」
「私、そろそろ逝かなきゃならないんです。そしてここは、神様から私への、最後のプレゼントなんだと思います。神様は、私の大好きなお二人に、会わせてくれた。夢のような時間でした。でも、そんな私のわがままにお二人を付き合わせてしまって、本当にごめんなさい。」
「最後って、おめぇ…!」
「いくって…まさか…!」
少し直接的だったかもしれない。
暗い顔はして欲しくないけど、二人は優しい人だから、私のこと気にしちゃうんだろうな。
もう消える。時間がない。
こんな、会って間もない私を心配してくれた。
声をかけてくれた。
今も、そんな顔をしてくれる、優しい二人。
大好きな二人に、今の私ができること…
「私は、今、とっても幸せです!」
最大級の感謝と、笑顔を
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