小説 | ナノ
『最近はね、ドラゴンボールとか、NARUTOとかの戦闘系マンガにハマってるんだ!』
『へー!』
『個性的なキャラが多いし、物語もすごく面白いんだよ!悟空とかもいいんだけど、やっぱり1番はNARUTOの…』
あの時、私はなんて言ったのだろう
家族に見守られた今際の際に、こんなことを考える私は、薄情者だ
でも、これが走馬灯ってやつなのかもしれない
美しい思い出ばかりを思い出す
楽しかったなぁ
家族は私がいなくても大丈夫
それに、私の好きなアニメは全て完結しているから、心残りなく逝けるよ
…ああ、思い出した
カカシだ
『やっぱり1番はNARUTOのカカシ!イケメンで強くて優しくてカッコよくて先生で…もうすっごくかっこいいのよ!』
『いや、先生て…それかっこいい要素か?』
友だちには突っ込まれてしまったが、カカシなら先生というだけでかっこいい、と今でも思っている
思えば、あの頃からずっとカカシが好きだった
カカシを想って、色んなことを考えた
一緒に闘いたい
隣に立ちたい
幸せになってほしい
会いたい
カカシに、会いたい
会ってみたい
だんだんと意識が遠のく
私はもうすぐ死ぬのだろう
想像してたのとは違って、痛みや苦しみを感じないのはありがたい
でも、家族の顔が見えなくなるのは、少し怖い
耳は最後まで聞こえているというけれど、本当なのだろうか
死んだら、私はどうなるのだろう
もし
もしも本当に神様がいて
神龍のように願いを叶えてくれるなら
どうか
その時
どこかで
黄金に輝く光が、見えたような気がした
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