小説 | ナノ



「私は、今、とっても幸せです!」

そう笑って、真奈は消えていった。





この世のものとは思えない程綺麗な場所

幻想的な世界


そして、彼女の最後の言葉



「いっちまったな…」

「…そうですね」

彼女とは初めて会ったが、胸にぽっかりと穴が空いたような虚無感を感じる。


「オラ、真奈とはまた会える気がする」

「え?」
「いや、オラにもよく分かんねぇけど、そんな気がすんだ」

「俺も…真奈とは、いつかまた、会える気がする」



不思議な気持ちだ。

彼女のことは、ほとんど知らないのに。



でも

またあの笑顔に会える

そう思うだけで、心が暖かくなる



二人の体から光が溢れ、透けていく。


「オラたちも、時間みたいだな」
「そうみたいですね」


「カカシ。おめぇとは多分もう会えねぇ。だから今言っとく。」


「真奈はオラのだからな!」
(真奈と先に勝負するのはオラだ!)

「…え、ええ!?」


そして、時間だというかのように、二人は光の粒となって消えていった。
彼女と、同じように。



悲しい体験は、いつになっても慣れることはない。
しかし二人の心には、彼女の笑顔という名の明かりが灯っている。
その明かりは、時に優しく、時に暖かく、二人を包むだろう。

彼女がずっと望んできたように。



光が消え、柔らかく吹いていた風が止んだ。

あたり一面に広がっていた花畑は、桜の木を中心に集まっていく。
やがて一つの大きな光となり、七つのオレンジ色の球に変化する。


それは自我を持つかのように、眩い光を発した。


空が黒い雲に覆われ、球の発する光の中から大きな龍が現れる。

龍は満足気に目を細めると、身を翻しどこかへと飛び去っていった。





これは別れではない

物語は、ここから始まるのだ


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