創作 | ナノ



空知らぬ雨




ざあざあざあ


雨の降る音が聞こえて、庭に目を向けると、君は必ず庭にいる。
さして手入れのされていない庭は、花と雑草の区別がつかないくらい荒れ放題。
そんな庭に、雨が降ると必ず君がいる。


雨に佇む君が好き。


だけど雨に紛れて泣くのはやめて?


「ん」

差し出したハンカチは皺くちゃで汚くて。
その上降り続く雨のせいで直ぐにびしょ濡れになってしまって、とても身体を拭けやしない。

「いいよ。もう濡れてるし。タオルなら窓んとこ置いてるし」

「違う。拭けよ」


お願いだから、その涙を









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