story | ナノ


▼ そんなところも可愛い、なんて

[ name change ]


ん、ふっ
俺はそのままアンを引き寄せ唇に貪りついた。どこでってキッチンでだ。
冷え性なのか少しひんやりとした唇が気持ちいい。だんだんと熱をもってくるそれに俺の欲は高まるばかり。
下唇を吸って、舌で唇をなぞるとアンは途切れ途切れに俺の名前を呼ぶ。たぶんやきそばどうすんだとかやきそば食べたいとか言いたいんだろう。やきそばやきそば、うるせぇやつだ。短期間でここまでこいつの発言パターンを理解してしまった自分自身に思わず自嘲。

(俺ってばあっさりハマっちまってんじゃん)

なお何かを告げようと開く唇に、俺は舌を入れて更に堪能する。何故か今までの女よりも甘く感じて、もっと、もっとと舌が自然に動きまわる。
二人の手には焼きそばの乗った皿。ご丁寧に焼きそばの上にはかつおまで踊っている。傍から見たらひどく滑稽な状況だろうが、あいにく俺には見えない。今俺の目に見えるのは少し苦しそうに頬をピンク色に染めたアンだけだからな。必死に俺の舌から逃れようとしているのか、はたまた動きについてこようとしているのか。

「サ、ッチ、やきそ・・・」

ふっぶはははっ
苦しくなったのか俺の胸とトントン叩くアンに少しだけ唇を放してやると、アンは予想通りの台詞を口にした。

「なんで笑うの?!」

やきそば大事じゃん!
まだ荒い呼吸のまま、真っ赤になって訴えるその主張に俺はまた声を出して笑った。


【そんなところも可愛い、なんて】
遊び人が聞いて呆れる。
(セクシー姉ちゃんをひっかけたつもりだったんだけどなぁ・・)

prev / next



[ back to top ]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -