story | ナノ


▼ epilogue;The story is never ending

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「アンー早く行こうぜ!」
「わ、エース。ちょっと待って!」

私は慌てて日焼け止めに蓋をして指輪をつける。
左手の薬指に。

あれから1年半が経った。

時が経つのは本当にはやい。
光陰矢の如しとはよく言ったものだ。


あの日。
エースはもう離さねぇとかっこよく言ったかと思うと、

「っていうかくっついたかも?あ、こりゃ離れねぇな、うん。」

なんて嬉しそうにはしゃぎながら、よく分からない結論に達してしまった。
要はエースのお腹の虫が鳴るまで相当な時間抱きしめられたわけだ。狭い玄関で。

そして指輪をもらった。

“誕生日”は覚えていたらしい。
でもとっても残念なことに、エースは今が何日かを忘れていた、らしい。

私が別れを告げたあの日あのカフェで。
やっとそれに気づいたエースは、とてもとても後悔して、合わせる顔がなくて、でも別れたくなくて。
カフェを出たその足でこの指輪を買いに行ったらしい。

もし電話に出てくれないと立ち直れないから、部屋の前でずっと待ってたけど帰ってこないし、勇気を振り絞って電話したら番号は変わってるし、「この世の終わりを1000回味わった」と私は10000回聞かされた。

「ずっと一緒にいてぇ。年取ってもアンと一緒にいてぇな!ルフィと3人でよ」
「ルフィ君だって、結婚するかもよ?」
「…それはダメだな。ルフィは、うん、結婚しねぇ!」

私たちの“定番”は“プロポーズ”へと名前を変えた。



「あ、マルコさん」
「あぁ、アンかい」
「ああぁ!マルコ、アンに触んな!」

大学を卒業した私は絵の道で食べている。
マルコさんはあの有名な白ひげカンパニーのお偉いさんだったらしく、私の絵を気に入ったマルコさんが掛けあってくれて専売契約というものを結んだ。
自分の絵が目も飛び出る値段で次々売れていくことには未だに慣れないけれど、とにかく描いても描いても追いつかないくらい世間の人に気に入ってもらえているらしい。

エースは白ひげカンパニー入社した。
あのサークルで優秀な人材には“親父”自ら誘いがかかるらしい。
エースは“親父”の一言で言えば“家族愛”という信念とやらに陶酔し、日々奔走している。

毎日がとても楽しくてそれはもう幸せだ。


これはそんな私とエースの物語。


「アンー!」

私は眩しい笑顔で名前を呼ぶエースの元に駆け出した。





The story is never ending.
物語は続いていく

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