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▼ They lived happily ever after

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「エース!」

とても驚いた顔をしながらドアを開けたエースは、私を見た瞬間くしゃっと顔を歪ませた。

「…アンッ」

言いながらエースは私に抱きついた。
ぎゅうぎゅうぎゅうと強く、強く。

アパートの狭い廊下で抱きあう私たちのすぐ後ろをおばさんが迷惑そうに通り抜けた。
横目に見る。あれは…大家さんだ。

「…エ、エース、とりあえず中。中はいろ?」

ね?
エースは変わらずぎゅうぎゅうと抱きついたまま全く動かない。
こんなに至近距離で無視されてしまった。

「大家さん怒ってたよ。追い出されるよ」

エースは抱きついた体勢まま少しだけ顔を上げて、大家さんが降りていった階段に目をやる。

「睨まないの」

はい、入りますよー。
口を尖らせさも不服ですといった表情で、エースは私にしがみついたまま右、左と足をニ歩だけ動かして部屋に戻った。私もエースの足を踏まないようにアワアワと一緒に動く。

玄関ぎりぎりに二人で収まると、バタンと扉が閉じた。
腰の辺りを抱きしめられているから、肩だけドアが当たって少し冷たい。

冷たさに慣れてきた頃、私の肩に顔を埋めたままエースが口を開いた。声が少し掠れている。一瞬しか見えなかったけど、たぶんさっき泣いていたからだ。

「…アンごめん。俺もう絶対女と遊ばねぇ。不安にもさせねぇしずっと傍にいる。そんでずっとアンを大切にする」

…だから、
エースがゆっくりと顔を上げ、私の目をまっすぐ見つめる。

「もっかいだけ。もう一回だけ俺のこと好きになってくんねぇか?」

アンがいねぇ人生なんて絶えらんねぇ。

私はにっこり微笑んでエースを抱きしめ返した。



この身も声も差し出さなくても
100年の眠りについたって
泡になりそうになったって
新しい世界は見つけられる。
運命ではなくたって
しあわせを探す旅の中で
私たちは世界一の幸せ者にきっとなれるから。


昔々のおとぎ話は云いました。

−さまざまな試練を乗り越えた王子様とお姫様は一生仲良くしあわせに暮らしましたとさ−



They lived happily ever after.
めでたしめでたし

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