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▼ It never rains but it pours

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エースは覚えてなかった。
電話もなかった。
大学の食堂でなんかすごいお化粧の人が言った。

「昨日エースくんとこ泊まっちゃった」

いつも楽しそうなエースはきっと、私がいなくても楽しい。
いつも待ってる私はきっと、エースが来なくても待ってしまう。

もう、終わりにしようと思った。

別れようと思うって友達に言ったら「まだ別れてなかったの?」って言われた。



2日ぶりに電話をして、エースとカフェで待ち合わせをした。

「おぉ!アン。久しぶりだな」

元気だったか?
太陽みたいに笑うエース。

誕生日のことはまだ絶賛忘れ中らしい。
最初の誕生日は自転車で30分もかけて12時ぴったりに来てくれたのにな。

「会いたかったけど忙しくてよ。ごめんな?」

エースはぽんぽんと頭を撫でてくる。
何で忙しかったの?なんて私にはとても聞けない。

「あのね。私、別れようと思うの。」

エースは驚いた顔をして止まってしまった。

言った。
…言っちゃった。

これで最後だと思うとそんな間抜けな顔さえすごくすごく愛しくて。
溢れそうな涙を堪えて、私は精一杯の笑顔を作った。

「今までありがとう」



昔々、とある姫は云いました。
−王子の愛を得られないなら、私は泡になって消えるのです−

こんなにこんなに辛いのに。泡になれたあなたが心底羨ましい。



It never rains but it pours.
降れば土砂降り

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