私には彼氏がいる。
同じ高校で出会ったとっても笑顔が眩しくてちょっとおバカだけどいつもみんなの中心にいる人気者。密かに片思いの日々を送っていたけど、あまりの倍率に告白など考えたこともなかった。

ところが高校３年の夏、突然の奇跡が訪れる。一体なにがどうなったのかエースから告白されたのだ。
真っ赤な顔で好きだと言ってくれたエースはそれはもう嬉しそうに笑って、とてもとても大切にしてくれた。私もすごくすごくうれしくて幸せだった。

「ずっと一緒にいてぇ。年取ってもアンと一緒にいてぇな！ルフィと３人でよ！」

これはエースの口癖。ちょっとだけ昔の。

「ルフィ君だって、結婚するかもよ？」
「…それはダメだな。ルフィは、うん、結婚しねぇ！」

ルフィ君は生涯独身らしい。
からかう私にエースが大層難しい顔でそう応えるのは二人だけの“定番”だった。

毎日がとても楽しくてそれはもう幸せだった。

でも。
別々の大学に通い始めると少しずつなにかが変わりはじめた。私は今でも大好きで大好きで大好きなんだけど。
私たちの交際はもうすぐ４年。
相変わらず繋がらないケータイをポイっとベッドに投げた。


これはそんな私とエースの物語。

【Once upon a time】
想いが通じ合ってめでたしめでたし、なんておとぎ話は分かってないね。




Once upon a time..
むかーしむかし

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