story | ナノ


▼ 気分はもう恋人同士

[ name change ]


「あっ!おい、変えんなよ」
「やだ。怖いの始まるじゃん」

私知ってんだからね。このあと怖いヤツだ!
アンはホラーが苦手らしい。まぁホラーというほどの内容ではないが深夜らしい少し怖い番組があることを知っていたらしく、チャンネルを勝手に変えた。だからここはお前の家かっての。

「分かったからちょっと貸せって。音ちょっと下げねぇとご近所めーわくだろ?」
「・・・」

「よしいい子だな、ってこら!」
「へへーん!そんな嘘にだまされないもんねっ」

俺は今、バーでナンパした女とチャンネル争奪戦中だ。焼きそばを食いながら。
ようやくチャンネルを奪い返した俺はのそのそと四つん這いで移動して、アンを後ろから抱きしめた。

「・・・ふ?どうひはの?はっひ」

もぐもぐを口を動かしながら首を傾げるアンをしっかりとホールドして、チャンネルを変える。

ドロドロドロー
ベタなBGNが聞こえた瞬間、アンが腕の中で暴れだした。

「はっ、っひ!!!!!!むぐッひきょうだよ」
「ん、そうか?」

俺はへらっと笑いつつ、アンの細くて白い首筋に噛み付いた。

んっ
ピクリと首を逸らすアン。随分反応がいい。俺は調子に乗って更に舌を這わせた。
さんざん焦らさせたんだ。これくらいの罰は与えたっていいだろ?

時折チュッとキスを落としながら強く弱く。
耳を、首を、そして肩を。
かぷっとひと噛みして舌で服を押しやりながら更に奥へ。

「ッン、はぁっ、サ、ッチ・・」
「んー?」

俺は軽く返しながらお腹に回していた手を服の中に這わせて、胸のふくらみを包む。

「サッチま、って。テレビこわい・・」

思わずくくっと喉が鳴る。
行為続行はOKらしい。俺にとっちゃ嬉しい限りだが、こりゃあちぃとしつけねぇとな。他の男にもこんなことをされたら困る。

って俺、女はいらねぇんだろ。
あーもういっか。思考、停止。
考えるのはもうやめた。なるようになりゃあそれでいい。こいつなら付き合ってもいいかもな、なんて。散々女を泣かせてきた癖に浮かぶ純情じみた考えに自嘲。

アンの首筋に唇を寄せたまま、チャンネルをたぐり寄せテレビを消した。そのまま腕の中で少しアンを反転させて水の入ったグラスを渡して飲ませる。

「あ」

口を大きく開けてアンを見ると、アンもへ?と小首をかしげながら口を開いた。

「・・あ?」
「よし、全部食ったな?」

皿を確認する俺に、アンは少し恥ずかしそうにぷぅとむくれた。ぷいっと逸らした顔と耳が赤くて、すげぇ可愛い。

「私ガキじゃないって」

はいはい、と軽く流して俺はまたアンと目を合わせる。
片眉を上げて、目を少し細めて、少しだけ低い声でアンの耳に声を響かせる。

ガキじゃねぇなら、
「もっとイイことしよっか?アンちゃん」

崩れ始めたリーゼントに指を通して完全に崩しながら見せつけるように舌なめずりをした。

「サッチエッチ」

思いのほか妖艶に笑うアンをソファに押し倒すのはこの0.5秒後。
その速さは、俺の想いの重さに比例。


【気分はもう恋人同士】
この気持ちを伝えていれば、何か変わっていたのだろうか。


prev / next



[ back to top ]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -