部活入部


入学式から数日。
何処かそわそわしていた学校も、ようやく落ち着きを取り戻してきた。
そんな中、各部活は部員を集めようと活発に勧誘を行っている。

「のぅ、原田。お前、何部入るんじゃ?」

「そや。ピッチャー目指すん?」

「野球部のマネージャーやる」

「「「やめとけ!!」」」

「は?何でだよ」

「野球部なんて野郎ばっかじゃぞ」

「今までもそうだったから平気だぜ?」

「男は狼じゃて、習わんかったか?」

「習ってねぇよ」

「原田は家庭科クラブとか似合うと思う」

「はっ。もう出来るのに何でわざわざ習うんだよ」

「「「出来るんか?!」」」

「当たり前。明日にでも顧問に聞いてみるよ」

「「「やめぇ!!」」」

「分かった。今から聞いてくる」

「は、原田ぁ!!」


豪達は、どうしても納得がいかないのか、ずっと文句を言っている。
巧はそれを綺麗にスルーし、職員室へと入る。


「戸村先生居ますか?」

「戸村先生?えーっとねぇ……」

「なんじゃ?」

国語科の小野先生に聞いていたとこ、後ろから本人がぬぉっと出て来た。

「あ、ども(熊かよ……)」

「その態度はなんじゃ?きちんとせんか」

「はぁ」

流石、風紀委員の顧問だ。今の巧にとっては、全く関係ないが。

「まあええわ。用件は?」

「野球部のマネージャーって、出来ますか?」

「………は?」

野郎ばっかりの、しかも中学校の野球部のマネージャーをやるなんて言う生徒に初めて会ったのだろう。
いつもの威厳は何処へやら。少々間抜けな答えが返って来た。

「は?じゃなくて、出来ますか?」

「まあ、出来るっちゃ出来るが、そんな細いのに平気なんか?」

「小学生の時はピッチャーやってたんで、その辺は平気です」

「じゃがなぁ……」

どうやらしっくり来ないらしい。

「じゃあ、今日の活動時間に顔出せ。キャプテンに聞いてみろ」

「はい(この人、キャプテンに押し付けたな)」

「あ、お前、組と名前」

「一年二組の原田です」

「分かった。チャイム着席せぇよ」

「失礼しました(出た、チャイム着席……)」



「巧!!断られたか?断られたよな?!」

職員室からでると、待機していた三人が一斉に問い掛けてくる。
妙に断定(希望)で。

「今日の活動時間に来いってさ。キャプテンとお話しなさいって」

「なんでじゃ!!」

「原田が狼の群に行くなんて危険じゃ!!」

「吉貞とか危ないで?!」

「「「前途多難じゃ……」」」

新田東中学校の廊下に、悲痛な叫びが響いた。



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