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「お、姫さん。遅かったねー」
「すみません。クリノスケに捕まって……」
「モテモテやね」
駅前のファストフードの店内に入った沢口達が見たのは、向かい合って座る、美男美女。
「なんでじゃ原田!!こんなチョウチンアンコウより俺の方がカッコイイだろ!!」
「「そこかよっ!!」」
全力で悔しがる吉貞にツッコミを入れる沢口と東谷。
そんな中、豪だけが喋らない。
「何突っ立ってんだよ。座れ、迷惑だ」
「さて、姫さん。本題に入るで」
「あ、はい。どうぞ」
「秀吾が原田に会わせぇ、って煩いんや。会ってくれへん?」
その言葉に、沢口と東谷は動きを止め、豪は唇を噛み締めたが、吉貞だけは、へらへらと言葉を発する。
「なんじゃ原田、また野球やるんか?」
「黙れ。お前が話しに加わると、面倒なんだよ」
「まあまあ姫さん、落ち着きぃ。せや、俺は姫さんに投げて欲しいんや。……この前みたいな格好悪いピッチングじゃなくて、本気でや」
ガタンッ
大きな音を立てて、豪が立ち上がる。
「おい、豪。どないしたんじゃ?」
「悪い、ヒガシ。俺、先に帰るけん」
「ちょっ、豪!!」
足速に出ていった豪を追い掛け、東谷も出ていく。
「原田、もう少し豪と話し会ってみぃや」
沢口も、二人を追う。
吉貞は最後まで追わなかった。
「なんだよ吉貞。お前も追えば?」
「あんなむさ苦しい男達を追うのは嫌じゃね。追うなら隣のテーブルのオネーサンを追う方がえぇ」
「お前じゃ無理だろ」
「せやせや」
「原田……酷いっ!!」
そう叫ぶと、吉貞はゴミも片付けずに帰ってしまった。
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