気分転換


「おはよう、巧」

「おはよ、繭」

翌日。
教室に入り、繭と挨拶をする。
いつもと違うのは、その周りに野球部員が居ない事だけ……

「うわっ、酷い顔じゃね……」

「元からだよ」

「巧は綺麗じゃが。昨日、ご飯食べんかったん?」

「少しは」

「そっか……な、巧。バスケやらん?」

「バスケ?」

「いつも、休み時間にやっとるんよ」

「……やる」

一旦野球から離れる。
その、第一歩……



昼休み。
体育館はギャラリーで溢れていた。
新田東の注目の一年生である巧が、バスケをしているからだ。
しかも、上手い。

「うわ、原田さんカッコイイ……」
「憧れるわぁ……」
「後輩なのにな……」

「原田、綺麗じゃな」
「惚れるなぁ……」
「彼氏とかおるんかな……」

全員が巧を見る中、巧がシュートを決める。
仲間とハイタッチをし、汗を拭う……

「様になっとる……」
「流石じゃ……」



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