「まさか学校でキャッチするとは思わんかった」

「よく言うよ、ホントはわざとあぶれたんじゃねぇの?」

「五分五分じゃな」

などと、呑気な会話をしている巧と豪。
一方の海音寺は、展西と話し合っていた。

「展西、どう思う?」

「何がじゃ」

「原田じゃ。アイツ、マネやっとるよりキャッチしとる方がキラキラしちょる」

「好きなんじゃろな」

「だよな〜」

「お前みたいだ」

「へ?」

「お前も、生徒会長の時よりも野球部キャプテンの時の方が楽しそうじゃ」

「そりゃあ、好きじゃからな」

「結局は原田も、そうゆう事なんじゃろ」

「そんなもんなんかね」

どうやら二人には、止める気はないらしい。

二人が話してる間に、巧達は次の練習に入ろうとしていた。

「よし、巧!座るぞ」

「りょーかい」

どうやら投球練習を始めるようだ。

「展西、見てみぃ。マジでやる気じゃぞ」

「試しに見とれ」

巧が両腕を振り上げる。
片足を上げ、踏み込み、投げる。

「……は、速い……」

「あぁ、うちらにはサイドスローの投手しかおらん。じゃから速く見える」

「試合に出してやりたいな……」

海音寺がそう思う程、巧は楽しそうなのだ。
と、そんな二人に戸村が近付いた。
「海音寺、展西」

「監督!!」

「なんでしょう」

「今週末、横手二中と練習試合じゃ」

「「は?」」

二人は戸惑いを見せる。
が、戸村は構わず伝える。

「部員に伝えろ。出れる奴は全員参加じゃ。ベンチ入りのメンバーは後で言う」

「「えぇ?!」」

それだけ言うと、戸村は巧をじっと見る。

「……出してやるのもええかもな」






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