「柔軟終わったペアからキャッチ始めろ〜」

「はい!!」

いつもと同じ光景。ただ一つ違うのは、

「キャプテン、永倉があぶれました」

「あ、今日は奇数なんじゃった……」

そう。
欠席者が多く、奇数になってしまったのだ。

「しょうがないな。永倉、三人でペア組みぃ」

「あ、はい」

豪が沢口達の所へ戻ろうとした時、巧が口を開いた。

「豪、グローブ余ってる?」

「あぁ、一応予備は持っとるが……」

「久しぶりにやろうぜ、キャッチ」

「え……マジか?!やってくれるんじゃな!!」

「はいはい、キャッチャー練習もやってやる」

「マジサンキュー!!」

本当のバッテリーのような二人に対し、海音寺は困っていた。

「原田、大丈夫なんか?」

「なにがです?」

「いや、肩とか……」

だが巧は、さも当たり前のように返した。

「大丈夫です。俺、小学生の時に何度も勝利投手になってますから」

「……ぇっ?……ぇえ?!」

「豪、行くぞ」

「おぅ」

巧がグローブをバシリ、と鳴らす。
その後で海音寺は、固まったままだった。







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