結局、スーパーに行き、買い物もしてしまった。
しかも、瑞垣に重い物を持たせてしまっている。
それでも、久しぶりに会えた瑞垣と一緒にいられるならいいか、と諦めた。


「ほんじゃ、また今度」

「なんか、すいません」

「次会うんは、試合の時やな」

「試合?」

「そのうち海音寺から連絡がいく。それまで楽しみにしとけや、姫さん?」

「その呼び方、止めてくれません?」

不意に瑞垣は巧を引き寄せた。
急な事に反応出来ず、巧は瑞垣に寄り掛かる。

「ちょ、瑞垣さん」

「巧、」

「っ」

名前を呼ばれて、思わずびくつく。
それと同時に、巧の顔は赤くなる。

「あらま、照れちゃって。やっぱ女の子やなぁ」

「黙れ」

「はいはいっと」

瑞垣は巧から離れた。
そして、軽く、本当に軽くキスをする。

「ほな、また今度」

真っ赤になっている巧を見て、満足した瑞垣は帰っていった。


「……やられた」


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