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「ありがとうございましたー」
駅前の薬局で、青波がいつも使う熱さましシートを買った。
巧は、ポケットからメモを取り出す。
「げっ、カボチャにキャベツ……重いもんばっか…」
帰りの荷物の重さを思い、思わずため息をつく。と、その時。
ひんやりとした手が、巧の目を覆った。
「だーれだ。ウフッ」
微かに漂う、タバコの匂い。
そして、ふざけた口調。
「こんにちは、瑞垣さん」
「あら、気付いてたん?」
「いえ、タバコが」
「あちゃー、やっぱり?お宅のキャプテンにも言われてもうたわ」
瑞垣は大袈裟に顔を覆ってみせる。
巧はそれを見て、少しだけ笑った。
だが、直ぐに顔を引き締める。
「少し控えたらどうです?」
「ええねん、高校では吸わんから」
「ふーん。ていうか、何で新田にいるんです?」
「そりゃもちろん、姫さんに会いに」
ハートが付きそうな勢いで巧にウィンクする。
呆れながら、軽く瑞垣の額を小突く。
「ま、半分はほんまや。もう半分は、海音寺に会いに」
「キャプテン?試合でもするんですか?」
「いんや、古典が分からんって呼び出されたんや」
「ご苦労様です」
「姫さんは?」
「夕飯の買い物に」
そう言って、メモを見せる。
瑞垣はそのメモを見て、顔をしかめた。
「重いもんばっかりやな」
「ですよね」
「せや。俺暇やし、手伝ったる」
「いや、別にいいです」
「ええって。ほら、はよ行こう」
「あ、はい」
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