「じゃあ皆並んでー!集合写真撮りまーす!!」

揉めに揉めた班決めから数日。
巧達は予定通り、水族館に来ていた。
今回の遠足ではお土産を買っても良い、と言われている為、「青波に何か買って帰るか」とぼんやり考えていた。

すると、いきなり左腕を引っ張られ、後ろの方で隠れるように立っていたはずが、一番前の真ん中にしゃがんでいる。


「おい、」

「だって原田さん、いつも後ろの方にいるじゃん。たまには前に来なよ」

「俺は後ろでいい」

「背高くてもしゃがめば平気だし、ね?」


普段から話す事の多い女子に言われると、どうも断れない。
渋々、一番前で写真を撮ったのだった。



「きゃぁ、ペンギン可愛い!!」

「あれ、子供じゃない?!」

「キャー!」

同級生が騒ぐ中、巧も一心にペンギンを見つめていた。
いくら男勝りとはいえ、女の子なのだ。
可愛い物が好きな弟がいれば尚更。
お土産はペンギンだな、と思っていると、館内放送が入る。

『只今より、ペンギンのお散歩が始まります。皆さん、是非お集まり下さい。』

「お散歩だって!!原田さん、行こう!!」
「あ、うん」
「素直だねー」
「あ、いや、ちがっ」
「はいはい、行こう行こう!」

自分一人だけでは行かなかっただろう。
誘ってくれた女子に小さく、ありがとう、と言う。
巧の事を良く分かっている彼女は、いいえーと笑った。



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