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「ほら、これで髪拭きぃ。なんなら、風呂入るか?」
「じゃあ俺、借りちゃおっかな」
「えぇで。ほら吉貞、俺のジャージ貸したる」
「どうもっす。んじゃ」
巧と瑞垣は、どうせまた濡れるから、と断った。
しかし吉貞は、遠慮を知らないのか、鼻歌を歌いながら風呂へと向かう。
「クリノスケ、自由やなぁ」
「アイツが遠慮したら、槍が降って来ますよ」
「せやな」
「ほら、お前らもちゃんと拭きぃ。風邪ひくで」
「オカンかお前は。なんで違和感あらへんの」
「キャプテンだからですよ」
「ああ、納得」
「な、なんじゃ二人して」
二人からの同情の眼差しを受け、海音寺は気持ち悪そうに二人を見返す。
暫くして、風呂に入っていた吉貞が部屋に入って来る。
ジャージのズボンの裾が余っている事には、誰も触れなかった。