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それからしばらく、キャッチボールを楽しんだ。
巧の本気の球を捕ってみよう、となった時、瑞垣は難無く捕れた。
何故、と問いても、愛の力、としか返って来ないので、二人は早々に諦め、またキャッチボールに戻った。
しかし、始めて2時間近く経ち、そろそろ休憩しようという時、ふと海音寺が口を開いた。
「雲行きが怪しいけん、もう終わりにするで」
「そうですか?晴れてますけど……」
「あーあー、これだから都会っ子は。山の方を見てみぃ、黒い雲があるじゃろ」
「……」
「原田、そんなに拗ねんな」
「別に、拗ねてなんか、」
「その反応が拗ねてる証拠やないか」
「……あ、何か顔に当たった」
雨が降る、という話をしているうちに、あっという間に雨が強くなっていく。
雨宿りをする場所、といっても、キャッチボールをする場所にそんな物はない。
精々、大きな木がある程度。
とりあえず木の下に移動し、雨を避ける。
海音寺は考えた後、一つの提案をする。
「こっからは俺の家が1番近いじゃろ。来るか?」
「キャプテンの家、ですか?」
「猫がおっても平気なら、来てもえぇで」
「猫と、お姉様が2人おるやろ」
「えっ、キャプテンのお姉さん、見たいっす!」
「うわ、現金な奴だな、吉貞」
結局、ずっと外にいるわけにはいかないので、4人は海音寺の家へと向かった。
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