ボスと、家庭教師と、


「今日は脱走日和だね」

「こんにちは、綱吉君。脱走したんだね」

「こんなに良い天気なのに、部屋に居る方がおかしいんだ」

「僕も外に行きたいよ……」

何時ものようにサボりに来たツナの相手をしつつ、サンドイッチを作る。
今はちょうど昼時。
巧は、好物のトマトをたくさん挟み、皿に盛りつけずに頬張る。

「あ、美味しそう」

「これは僕の。綱吉君も何か食べるかい?」

「それちょうだい」

そういうと、まな板の上にあるサンドイッチを取る。

「それにしても、トマト多いね」

「うん、トマト好きだからね」

「そういえば、中学生の時、トマト一年分貰った事あったなぁ」

あの時は大変だった……
と、思わずツナは遠い目になってしまう。
それとは反対に、巧は羨ましそうな目でツナを見つめる。

と、その時。
ツナの頭に銃口が突き付けられた。

「サボって昼飯とは、いい度胸してんな、ツナ」

それは、ツナ回収係のリボーンだった。
ツナは気付いていたのか、呑気にサンドイッチを食べ続けている。

「やあリボーン君、エスプレッソかい?」

「あぁ。そういや巧、この前騙しやがったな」

「やだなぁ騙したなんて。僕はただ、ツナの味方をしただけだよ」

「その結果、俺を騙しただろうが」

「悪かったよ。お詫びに、クッキーあげるよ」

巧はリボーンの前に、シンプルなクッキーを差し出す。
これは、以前リボーンがリクエストした物で、リボーンしか食べた事がない。

「いいなぁ、それ、リボーン専用なんだろ?俺にもなんか作ってよ」

「綱吉君は、何時も匿ってやってる、それで満足でしょ?」

「でも、特別って、いいよね」

「そう?」

「ハッ、羨ましいか、ツナ」

「っムカつく!!」

この二人の口喧嘩にはもう馴れている。
巧は止めずに、黙々とサンドイッチを平らげた。


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