100000hit企画 | ナノ



「雲雀くんきゃわいい!」
「ごめんキモい」
「ひぃんっ」

頬を染めながら背筋を仰け反らせてびくんびくん震えるなまえには悪寒しか感じない。むしろ恐怖さえ感じる。
どうしてこんな奴を噛み殺してしまったんだろうかと小一時間ほど考えたいところだが、理由は簡単だ。こいつがチャラチャラした群れる系の不良だったから。
頭は金髪だし着崩した制服の端からは真っ赤なTシャツが覗いてる。きっと胸元の膨らんだポケットには煙草の箱が入っているんだろう。
僕はいつも通り並森を見回りしていて、たまたま見つけたのがこいつを含む不良のグループだった。
あいにくその日の僕はえらく機嫌が悪かった。草壁はインフルエンザにかかったとかで学校を休むから仕事はいつもの倍だし、あの草食動物に引っ付いている獄寺隼人が校舎を爆発させるし、苛つく要素がこれでもかと詰まっていた。
僕は占いなんて信じない質だけど、その日の朝のニュースで見た「ごめんねっ、今日の牡牛座さんはワースト1だお☆」なんていうキャスターの声が頭を過ぎり、よりいっそう不快感が増したのをハッリキ覚えている。
そんな時に目の前に現れたこの不良グループ、噛み殺さない訳がない。

「雲雀くんあいしてるぅ!」
「ほんとキモい」

なぜこいつに好かれたのか、あの日からずっと考えていた。
ただ僕は、これ見よがしに煙草を吸いながらにやにや笑って僕を見つめるこいつをぼっこぼこに噛み殺してやっただけだ。他の不良共が僕を見て一目散に逃げる中、唯一逃げなかったこいつに少し期待しただけに、簡単に僕にやられたのには落胆したのだ。
しかしいくら噛み殺してもにやにやした、恍惚とした表情を浮かべたこいつに恐怖のような、ぞわりとした気味の悪いものを感じたのは確かだった。

「もっと言って?ほら雲雀きゅん俺キモい?ん?キモい?」
「死んで欲しいくらいキモいから安心して」


それがまさかこんなド変態マゾ男だったなんて。
ひくりっ、頬が引き攣るのを感じた。


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