100000hit企画 | ナノ



「ねぇ、なまえって処女?」
「…は?」

思わず呆然としながら目の前の男を見つめる。奴はなにが楽しいのかにこにこと笑みを浮かべ「だから、処女?」と再度口を開いた。
今の今まで各々で駄弁っていた他四人も尾浜くんの言葉を目ざとく聞きつけにやにやと意地の悪い笑みを浮かべながら呆然と口を開く私を見つめていた。

「……」

この屋上には私と目の前の男共の六人しかいない。たとえお昼時間だろうが授業中だろうが此処に寄り付く生徒はいない。

「なまえのくせに無視?」
「すみません処女です!!!」

それもそうだろう、なんたって屋上は校内でも名を轟かす不良五人組のたまり場なんだから!!
にっこりと笑いながら威圧をかけてきた尾浜くんにヤバいと感じた私は冷や汗をかきながら叫ぶように言葉を発した。処女です…処女です…と私の空しい叫び声がグラウンドに響く。
いっそ殺せ!なんで私がこんな目に!
羞恥により瞳には涙が滲むし体はぷるぷると震える。だというのに目の前の男共はそんな私を見ながらもそれを気にした様子もない。きっとこいつらには赤い血が流れていないに違いない。もし人間なら震える人を前にすれば心配して声をかけるはずだし、ここら一体の族をバッド一本で潰し回ったなんて噂流れないはずだろう…ッ!

「もしかしてなにか変なこと考えてないか?」
「やだなぁ鉢屋くんそんなわけないじゃないですかぁー」

アハハハハ…と笑う私のなんて惨めなこと。それもこれもこいつら不良に気に入られたのが原因なのだ!何故!何故私が!?こんな平凡女よりよほどいい女たくさんいるでしょう!?しかも「これからは毎日俺らと屋上で昼食食べようね」ってなんなの?疑問系じゃなくて断定系でしたよね?
手に持っていた空になったお弁当箱を握りしめ、世の無常を痛感する。無信教なのがいけなかったのですか神様、なぜ私にこのような試練をあたえるんです…。
むしろこれ試練ちゃう拷問や…。

「むしろなまえが処女じゃなかったら世の非処女の女性に失礼なんじゃない?」
「だよなー、なまえが非処女だったら俺もはやなにを信じればいいのかわかんねーもん」

そこまで!?っていうかいつまで私の処女談義続けるつもり!?
人畜無害そうな笑みを浮かべながらも毒を吐く不破くんと、うんうんと腕を組んで神妙な顔をする竹谷くん。もうほんとこいつらのブツもげたらいいのに。いやもげろ!むしろ今すぐもげろ!

「なぁなまえ」
「ち、近いです久々知くん…」

私の腰に腕を回しながら近づいてくる顔から全力で遠ざかろうと首を限界まで反対方向に伸ばす。ちょっと、いやかなりイケメンだからって調子乗ってんじゃ、ってあんたどこ触ってんの!?そこは流石にダメだろ…!!
あやしい動きをする奴の手を叩き落とせたらどれほどいいだろう、しかし私にはここいら一体の族を壊滅に導いたと噂される奴らに逆らう度胸などない…ッ!

「可哀想ななまえに"イロイロ"教えてやろうか?」
「ひえええ…!」

体にぞわぞわと鳥肌がたった。もちろん嫌悪感から。むだにイケメンな声で私の耳元で囁くのはやめてくださいむしろ他の女の子にしてくださいッ!!「久々知くんってミステリアスな雰囲気あっていいよね〜」ってハートマーク浮かべながら言ってる女子ならたくさんいるから!むしろ紹介してあげようか?!?!まぁ私にはその魅力の五億万分の一もわかりそうにないですけど!!

「あ、それいいね兵助、ナイスアイデア」
「たまには慈善活動するのも悪くないかもな」

なに乗り気になってんだそこの馬鹿二人!鉢屋くんと尾浜くんって頭おかしかったんだね!うん知ってた!!

「や、やだなー皆さん、そんなご冗談を!!!」

じりじり近づいてくる馬鹿五人組に愛想笑いを浮かべながら後ずさる。ちょっ、待てやおいいいい!!いくらなんでもこりゃ洒落になんないってばああああ!!!

「大丈夫、優しくするから」
「そういう問題じゃねーだろ!!!!」

誰か助けろください!!!!

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