100000hit企画 | ナノ



「やぁ、キル、帰ってたんだ」

部屋に入って来たキルアに声をかける。扉の外でミルと一緒にいた気配を感じていたけど、来たなら来たですぐ会いにきてくれたらよかったのに。なんだか仲間はずれにされたような気分になって眉を寄せる。まぁこの顔は年がら年中動かないから意味ないんだろうけど。

「…ッ!?!?」

だというのにキルアはそんな俺を見て驚愕とした表情を浮かべていた。
…ん?昔から怯えられてたのは知ってたけど、俺の無表情顔がそんなに怖かったのかな?ヒソカのヤバい顔に比べたら俺の顔なんてかわいいもんだと思うんだけど。そういえば最近カルもミルも俺のこと怯えた顔で見てるし、もしかして俺が気づいてなかっただけで俺って結構兄弟たちに恐れられてるの?

「…キル?」
「あ、う、」

うーん、今まで愛情を持って接してた兄弟たちに怖がられるって案外寂しいもんだね。まぁ今までの行いから考えれば自業自得なんだろうけどさ。

「そ、そんな顔すなよ…」
「え、そんな顔って?」

キルが困惑したような表情で心配そうな声をかけてくる。
え、そんな顔ってどんな顔なわけ?人間とは思えない無表情鉄仮面はやめろってこと?
ちなみにこれクロロに言われた言葉だから。人間とは思えないってひどくない?さすがの俺も傷ついたよね。その後一ヶ月は口聞いてやらなかったし。殺さなかっただけでも褒めてほしいよ。

「…兄貴、なんか怒ってる?」
「え、なんで分かったの?」
「…兄貴、驚いてる?」
「心読む念能力でも覚えた?」

呆然としながらも俺の内心を的確に当てたキルに感嘆の声をあげた。
俺の心情が分かるなんてさすがキルだね、クロロなんかとは大違いだ。自分でも能面だと思うこの顔から表情を読み取るなんて、やっぱり家族は分かるもんなんだなぁ。

「…ッ」

内心笑みを浮かべていると、そんな俺を見て目を見開いたキルアが顔を手で覆ってしゃがみこんでしまった。
…もしかしてキル病気かなにかじゃない?顔を真っ青にさせたり真っ赤にさせたり、風邪の前兆?

「ギャップ萌えってこういうことか…!!」
「…ミルになんか吹き込まれたの?」

ギャップ萌えだなんて、いかにもミルキが言いそうなことじゃないか。他人の趣味にどうこう言うつもりはないけど、キルにまで悪影響を及ぼすならなんとかしないと。とりあえずあいつの部屋にあるフィギア全部燃やすくらいでいいかな?

「…兄貴、すんげー極悪人顔なんだけど…?」
「あはは、なに言ってるのキル。俺はいつでも優しいでしょ?」

あはははは、といつものように笑うとキルアの顔が凍りついた。
やっぱりキル風邪じゃない?


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