承太郎の幼馴染 | ナノ






朝食含め昼飯さえも食べていなかった事を思い出した俺はキッチンに向かう。当初の目的は朝食を食べる事だというのにすっかり忘れていた。こんな調子だから母さんも承太郎を家に寄こしてきたのかもしれないなぁ、なんて思いが脳裏をよぎったが俺のプライドのためにも考えないことにする。

「もう面倒だから菓子パンでいっかぁ…」

母さんからの衝撃的事実やら承太郎からの俺のこと必要じゃあないなんて言うんじゃねー!っていう独占欲だか大事なおもちゃを取られた子どものような行為によって疲れ果てた俺はもう微塵も動きたくないッ!ということで母さんも居ないことだし菓子パンしか食べてなくっても怒る人なんかだれもいない事を理解しているかしこーい俺は自身の労力を減らすためにご飯はつくりませんえへ。

「阿呆か」

「っいた、」

冷蔵庫に入ってた菓子パンを手に取る前に俺の頭には何故だか微かな衝撃、ってこんなことすんのは承太郎しかいねーよなんなんだよお前はよォ!ちょっと賢いからって人を阿呆呼ばわりしやがって。阿呆に阿呆言ったら可哀想だって気づけよ俺だって理解してるよばかやろー!

「なに菓子パン食おうとしてんだ。身体に悪ィだろうが」

「なんだよお前は俺の母さんかよー」

ぶーぶーと文句を言う俺にやれやれだぜ、と呟いた承太郎はキッチンに立つと冷蔵庫から色とりどりの鮮やかな野菜を取り出していく。その手馴れた姿はさながら理想の彼氏像もしくは夫に欲しいナンバーワンでも可。カッコよくて賢くて優しい上に料理もできるってお前ほんとに俺と同じ人間かよ。俺が女だったら即惚れてたに違いない。

「てか承太郎料理できたっけ?」

「放っておいたら菓子パンしか食わねー■のために練習したんだよ、おばさんにお前のこと頼まれたしな」

「さっすが承太郎!そこに痺れる憧れるゥ!!」

「やれやれだぜ」

あ、今のやれやれだぜはちょっと嬉しい感じだったな。幼馴染で何年も一緒にいたからか承太郎の感情とかは大体理解できる。たまーに俺にも分かんない顔してる時もあるんだけど、ってうおぉ承太郎の華麗な包丁捌きに感嘆の声しかでねぇ…。幼馴染のためにここまでしてくれるって承太郎はほんとにいー奴だな。

「なにつくってんのー?」

「オムライス」

野菜を切り終えた承太郎の後ろからひょっこりと顔を覗かせる。その言葉を聞いた俺はキラキラと目を輝かせた。オムライスをチョイスしてくれるとはやっぱり承太郎、俺のことを分かってらっしゃる!ぐーと鳴った腹さえ愛おしいぜ。嬉しくなってにへにへ笑う俺の頬をぐにっと摘んだ承太郎は「もうすぐできるから待ってな」と俺の背中をトンッとリビングへ押した。うーん、オムライスができるまでをずっと見ていたい気もするが承太郎の邪魔になってもいけないしリビングで大人しくしてるかぁ。




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