幼馴染。
その単語を聞いた人は何を思い浮かべるだろうか。少女マンガなんかでよく使われるシチュエーションだから、甘酸っぱいものだと思う人も多いかも。 家がご近所さんで毎朝幼馴染が起こしに来てくれるとか、お母さん同士が仲良しで家族公認カップルにされちゃうとか、カッコいい幼馴染とのラブハプニングとか。もはや使い古された設定だけど、だからこそ乙女の永遠の憧れってもの。そんな幼馴染が学校でもモッテモテ、男からも女からも人気絶大、もはや世界はこいつを中心に回ってるんじゃ…?なんて男だったらなおさらだろう。 クラスの奴からも「なんであんたが承太郎くんの幼馴染なワケ!?」と何度言われたことか。いやぁ、女の嫉妬ほど怖いもんはないって言うけど正にその通り。そう言った女子の目は物語っていた、「てめっ、幼馴染だからって調子のってんじゃねーぞア゛ァン?!」と…。 それに頬を引き攣らせながら「い、いやぁ、そんなつもりは無いっすよぅ。は、ははは…ハハ」と返す俺のなんと惨めなものか。そう、おれ■はれっきとした男だと言うのに!!なんなの俺に嫉妬する女子たち意味分かんない。なんで男に妬いちゃうの?もしかしてキミたちの目には俺が男として映ってないの?なにそれ辛い。 俺だって彼女くらい欲しいさ。だけど今まで俺の好きになった子は全員承太郎に惚れるときた。承太郎は俺の恋心を知ってか知らずか、告白してきた俺の好きな子を真っ先にお持ち帰り。きっと家でニャンニャンしてるんだろうなァ。保健室で当時俺が好きだったマキちゃんとニャンニャンしてるところを目撃しちゃった時はさすがにショックだったよ。暫くは何も信じられなくなったんだから。人間不信だね、人間不信。 それでも承太郎はほんっとーにいい奴だから、俺も心からキライになることなんかできなくって。部屋に引き篭もるたびにわざわざ訪ねて来てくれる承太郎を許しちゃうんだよなぁ。
「おい、■。帰るぞ」
「おー」
そんなこんなで俺たちは十年来の幼馴染である。
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