「蓮二」
「……」
「蓮二くん」
「…………」
「蓮二さん」
「……………」
「蓮二ー…様?」
「………………なんだ」

ツンツンと愛しの蓮二(様!)の脇腹をつつき初めて5分。ようやく読んでいた本に栞を挟んでわたしにかまう準備をしてくれた。そうか、様が当たりか。
少し遅い初詣を終えて、今日は蓮二の家にお邪魔している。ちなみにご家族の方々は早くから部活のある蓮二を残して年末から一週間程の旅行に行っているらしい。
要するに、いまこの空間にいるのはわたしと、蓮二だけ。
思う存分、いちゃいちゃらぶらぶきゅんきゅんできると、そういうわけである。

「れ ん じ くーん」
「だからなんだ」
「呼んでみただけー」
「…………そうか」
「あっ」

一瞬、こちらを見下ろした蓮二の顔が、また元に戻った。腕も動いた。この寝転がっている体制からはよく見えないが、これは…

「させるかっ!」
「っ…!?」
「本なんかにわたしは負けない!」

視界を塞ぐ蓮二の腰に腕を巻き付け、うまく不意をついて後ろに体を倒す。…倒そうと、したが蓮二も意地だろうか、日頃鍛え上げた腹筋に物を言わせて際どい角度で身体を保った。

「……なまえ、」
「れーんーじー……………………………………………………………………………………………………………………かまって?」

その、恨めしい腹筋辺りに顔を埋めて蓮二の匂いを肺いっぱいに吸い込む。
匂いを堪能したら、ちょっとだけ満足したから腕の力を抜いてあげた。けど、蓮二がため息をついたのがお腹の動きでわかって、すぐに切ないようなさみしいような気持ちになる。プラマイゼロだ。
私は蓮二といちゃいちゃらぶらぶきゅんきゅんしたいけど、蓮二はそうじゃないんだね。ぐす。

「危ないだろう」
「……後ろに座布団あるから、大丈夫だもん」
「そういうことではない」
「……?」
「年始めからというのも、と思って抑えていたのに、俺の優しさを無下にしたのはお前だからな」

蓮二の言ってることがわかんない。
そろそろと顔をあげると、頭に大好きな蓮二の掌がのっかった。…と思ったら、身体の位置が入れ替わって、あれ?組み敷かれて、る。

「姫初めと言う言葉を知っているか?」

首をよこに降る。初めて聞く言葉だ。

「そうか、では身を持って知ってもらおう。とりあえず」
「ぎゃ、」
「もう少し上に来い。キスができない」
「!」
「いちゃいちゃらぶらぶきゅんきゅん、したいんだろう?」

口に出ていたぞ。
耳元で囁く蓮二に、きゅんきゅんした。もしかしたら蓮二の言うその姫初めとやらでいちゃいちゃもらぶらぶもできるかもしれない。

「蓮二!」
「なんだ?」
「その、姫初めっていうの、よくわかんないけどわたし早くしたい!」

組み敷かれているのは、なんとなく不安だけど。
そう言うと、蓮二の形良い唇が、フと弧を描いた。

「わかった」

そして、不安は的中した。












※ヒロイン馬鹿そうすぎる件^▽^


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