「さあ」
ポンポン。
精市が自分のとなりの、何も無いスペースを叩いた。
「ほら、寒いんだから早くしてよ」
「……うん、まずは新年そうそう何をしたいのかはっきり言ってくれる?」
「何って…決まってるだろ、姫はじ「やっぱりか!」……あれ、姫初めの意味知ってるんだ。なまえのえっちー」
「えっちはお前だばか!だいたい去年そう言って事に及んだのは精市でしょ!」
「そうだっけ?」
きょとんとした表情で驚いてみせる精市に、わざとらしさを感じずにいられない。
ムカつく。非常にムカつく。去年の今日コイツの為に正月を腰痛持ちで過ごしたのに…!
「去年もなら尚更しようよ。ほら、恒例行事の一つみたいな」
「そんなもの恒例にしないでよ!」
「なんで?」
「なんでって…!」
「理由がないならいいよね?」
私が答えられないのを見て精市が満足そうに微笑んだ。いや、まだだ。まだ勝機はある!
「せ、精市こそなんでそんなにその…姫初め?したいのよ。理由なんてないでしょ!」
買った。最高わたし。そう心の中で美しく決まったガッツポーズは、しかし長く続かなかった。精市のほうが今年もやはり、一枚上手だったのだ。
「理由?そんなの、なまえが好きだからに決まってるじゃないか。なに言ってるの?」
「!」
…………きゅん。
な、なにそれぇぇぇっ!
なにその当たり前みたいにそんな…!
そして赤くなって固まった私に、だめ押しとばかりに精市は自分のシャツのボタンを外して、囁いた。
「ねぇ、駄目…?」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………だっ、」
「うん?」
「駄目じゃ、ない」
あけましておめでとうございました!
※量も質も時間のないお正月クオリティ!