詐欺師の手口2
いやあ、助かったー!めっちゃ旨いぜよ。
そう言ってご飯を頬張る仁王君が、お箸とあげたお惣菜入りタッパーを持って私の部屋にやってきたのが五分前。
お姉さんの作ったおかず食ったら白いご飯が食いたくなったんじゃ、と。
いくらなんでも炊飯器はあるだろうと思っていたのに、無いらしくてびっくりした。
お茶をだしてから私のお茶碗にご飯を多めに盛ってあげた。
私も一人暮らしであまり食べる方ではないから、いつもご飯は余らせていた。
そんなときは冷凍したり、翌日に持ち越したりしていたのだけど。
今日炊きたてあって良かった‥
「ねえ、いつもはご飯どうしてたの?」
疑問に思ったことを聞いてみる。
「んー、いつもは適当にコンビニのパンとかカップラーメンとかかのう。昼は購買でパン買ったり学食じゃ」
み、乱れた食生活‥
運動をしている成長期のお子さんがそんなことで良い訳ない。
「自炊とかはしないの?」
「全くやる気が起きなくてのう。鍋とか一切無いし」
だからお姉さんのくれた飯、かなり嬉しかった、そう言って
にっこりと
キラキラとした
ちょっとお金を払ってでも見たいかもしれない、なんて思ってしまうような
素敵な笑顔を見せてくれた。
ちょ、かわいい‥
大人びた子だと思っていたけど今の笑顔は少しあどけなく、子供らしさがあった。
ちょっと印象変わったな。
前は無口な子だと思ったけど少し慣れたのか、良く喋るようになった。
ご飯を食べながら話しをする彼に相槌をうちながら、考える。
そしてなにより、かわいい。
さっきの破壊力抜群の笑顔を頂いてから
(犬みたい)
長い銀髪をちょろっとくくっているのが尻尾に見える。
(大型犬‥)
「なあ、またたまに飯作ってくれん?」
ふと脳裏に雨の中捨てられた犬がよぎった。
そんなこと、上目遣いで申し訳なさそうに言われたら。
「もちろん。いつでもおいで!」
そんなふうに言ってしまったんだ。
あれ?と思ったのはそれから数日後。
(たしかにいつでもって言ったけど)
(毎日来るとは思ってなかった)
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