Magic Green!!!本編 | ナノ
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02.

「厄介だな」
「うむ。スティーブン、今回は流石に……」
「ああ、わかってる」

スティーブンはたった今出来上がった資料を見やって、厳しい顔をした。クラウスもいつにも増してその顔を険しくさせている。K.K、チェイン、レオナルド、ツェッドはその様子を見ながら、アユとザップの帰りを待っていた。

「なんか……相当ヤバい案件なんすかね?」
「今日のミーティングの本題になりそうですね」

レオとツェッドがひそひそと話していると、扉が開き、いつもはふわりとしている筈の髪をぼさぼさにさせたアユと、ドラッグストアの袋を提げたザップが入ってきた。

「……ザップ、また任務不遂行か」
「ち、ちげーよ番頭! やめ……まじで! 風邪引くから!」
「スティーブンさん! 大丈夫ですほら! めっちゃ元気ですから! 怪我とかないです!」

両手をバタバタとさせて健常アピールをするアユを見て、スティーブンはザップへの氷の侵食を彼の腰の辺りで止めた。

「……なら、いいんだ」
「つっっっめた! レオ! 砕けこれ!」

くるりと背を向けデスクへと向かったスティーブンを怨念こもった様子で睨みつけながら、ザップは助けを求めた。レオは仕方ないっすねと言いながら、ザップが氷漬けにされた時用のスコップをどこからともなく持ち出してきて、ごりごりとザップの足元の氷を削り始めた。

「全員集まった様だ。ミーティングを始めよう」

クラウスがそう言ってチェインに資料を渡し、メンバーの一人ひとりに配り分けていく(途中で身動きの取れないザップの足を踏んずけた)。その間に、スティーブンは数枚の写真をホワイトボードに貼り付けていった。

「2ヶ月前からかな。誘拐事件が多発している。狙われたのは全て一般人女性だ」
「一般人の誘拐だぁ? オイオイ番頭、そんなもんここでは日常茶飯事だろ」

俺達は探偵じゃねーぞ! とようやく氷から開放されたザップがソファーにドカッと座り込んでスティーブンの説明に口を挟んだ。

「いいから話を聞け。この写真に写っている女性……計5人。全員Bブロックで姿をくらました……レオナルド、この5人に共通する特徴は何だかわかるか? ……ああ、義眼は使わなくていい。写真を見た限りでわかることを、答えてみろ」
「え!? え〜っとぉ……」

レオナルドはホワイトボードの前まで移動し、写真の中で各々の表情を浮かべる5人の女性を眺めた。

「ロングヘアで、茶髪? っぽいっすね。目も茶色……背が低くて、全員白と緑の服……」
「……」
「……どー考えても、狙われてんのおめーじゃねーかチビ」

ですよねー! アユはだらだらと汗をかいた。そこまで特徴が一致して、尚且狙われるような人間は、このHL中を探してもおそらくアユだけだろう。何故?それは今更説明することでもない。

「どこかからアユの情報が漏れた。まぁ流した奴はわかっているから、今日中には処分する。問題は……誘拐犯の特定が出来ていないことにある」
「まさか、またアユっちを囮にするんじゃないでしょうね? スカーフェイス」

好きな子にそんなことさせたら、心臓撃ち抜くわよ。K.Kがそんな目でスティーブンを睨み、胸元の銃に手をかけた。スティーブンの方は、いやいやとそれを手で制して、にっこり笑ってとある提案をする。

「そこでだ……レオナルド、今回は君に囮になってもらう」
「あ、なんかそんな気はしてましたー」

デジャヴっすねー!
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