Magic Green!!!本編 | ナノ
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「#幼馴染」のBL小説を読む
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08.

「帰っちゃいましたねー」
「だなー」
「なーんか、暇っすね」
「……まーなー」
「俺、結構前から気になってたことがあるんすよねー」
「あ? ンだよ」

ザップさんて、アユのこと大好きでしょ。


「飲みに行くわよ、スカーフェイス!」
「えっ、ちょ、K.K! まだ仕事が……」
「し、ご、とぉ!? 脳天打ち抜くわよ!? この私が飲みに誘ってんの!! アンタみたいな腹黒男を!!」
「え!? なんで!? なんでそんなに怒ってるんだ!?」
「あ”ー!! もうッ我慢出来ない! 馬鹿なの!?」

アンタって、アユっちのこと大好きでしょ!


スティーブンが名乗りを上げた直後。真剣な顔で睨みをきかせたザップが、真っ先に反対した。

「何言ってんだ番頭、アンタに倒れられちゃライブラがもたねぇよ。俺がやる」
「……え? え?」
「お前は純粋な戦闘員だろう。いつでも出せるようにしておきたい。俺は事務作業だけの時もあるし、結構適任だと思うが」
「えっ、は? え?」
「血の気の多さの問題だろ。俺はコイツの”護衛”もやってる。一緒にいる時間もなげー」
「?? ん? え?」
「血の気の多さは問題じゃない。アユの”護衛”をやってるからこそだ。お前が倒れたら、誰が彼女を守るんだ。一人で出張に行かせるのか?」
「待ってください!」

声を張り上げたのはアユである。ハインもその横で、あれ、予想と違う……といった顔をしている。

「二人共、これを引き受ける意味……わかってるんですか!?効果が切れてる時に魔法を受けちゃえば、最悪倒れちゃうんですよ!」
「わかってるさ、死にはしない」
「そこまで馬鹿じゃねぇよ」
「うっ……」

何故か2人から物凄く睨まれたアユは、思わず後ずさった。怖い訳じゃないけど、なんでこんなに殺気立ってるの? この大人達は……汗をかくアユの横から、ハッとしたハインが飛び上がった。

「でしたら話が早い!」

いやぁよかった、本当によかった! 誠意が伝わって嬉しい、僕は嬉しいです! と半泣きでスティーブンとザップの元へ向かい、握手した。

「牙狩りであれば、どちらでも構いません。どうせアユはこれから2ヶ月は日本にいますし……その間に僕らの方も色々と、研究を進めます。本格的な実験を開始するのは、年が明けてからですから! それまでにアユの”パートナー”を決めてもらえれば、それで!」

ハインはそう言い残して、アユの頬に軽くキスをし、嬉々としながらライブラの事務所を後にした。
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