Magic Green!!!本編 | ナノ
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04.

セントラル消失公園では、その後も激戦が繰り広げられ……るのだろうと誰しもが思っていたが、思いの外早くレオナルドが諱名を読み取ったため、BBはクラウスによってあっさり密封された。その後の方が厄介で、このBBを雇った馬鹿野郎が、レオナルドを逃がすまいとセントラル消失公園のいたるところに火を放ち、公園中があっという間に火に包まれ、草木は焼失し、灰になってHLの霧烟る空に舞い上がった。これに激昴したクラウスが、チェインによって特定された馬鹿野郎のいる場所へ突撃し、事態はようやく収束。HLPDを中心として消火が行われたため、セントラル消失公園の緑は全滅を免れた。が、焦げ臭い匂いがしばらく周囲に広がった。

「ウィ、スティーブン……ああ、レオナルドなら無事だ。ザップとツェッドの方も粗方片付く頃だろう。君も本部に戻って構わないよ、K.K」

撤収命令を受けたスティーブンは、逃げ惑っていたレオナルドをひっつかみ、半ばひきずるような形で公園を後にしていた。少し焦げ付いている少年を見下ろし、スティーブンは口を開いた。

「大丈夫か?」
「大した怪我はしてません。けど前髪が焦げちゃって……」
「大丈夫だな」

しばらく歩いたところで、血まみれのザップとツェッドが前方から走ってきているのに気がついた。

「なんだお前達、まだ帰ってなかったのか」
「グールがこっちにいっぱいいたもんで、今終わったんすよスターフェイズさん。おーおーいんもー。大事な毛が縮れてまちゅよぉ?」
「……全く。どうしてあなたはそういう事しか言えないんですか。馬鹿ですか」

今馬鹿って言ったか魚類よ!? といつものごとく睨みい取っ組み合う斗流兄弟を見やりながら、レオナルドは何のことはなしに呟いた。

「アユは、高度特殊型張り終わりましたかね」
「さあ……全員が出払ってから2時間以上たってるし、終ってるだろう」

アユ、という言葉を聞いて、スティーブンは少しバツの悪そうな顔をした。この1ヶ月間、さすがに大人気なかったと自分でも後悔していた彼だが、今更仲良くやっていこうにも、方法がわからない。

(愛玩動物、ね)

ソニックは愛玩動物ではないだろうか。白くて、小さくて、愛らしい仕草を見せてくれる。勿論そんな可愛い音速猿にも口元が緩む。しかしソニックをほんわかと眺めているとき、仕事に支障をきたすほどの状態に陥るようなことは全くなかった。……あれ?

「どーしたんすかスティーブンさん。めっちゃ変な顔してますよ」

不思議そうに話しかけてきたレオナルドに変な顔と言われたのがイラッときたのか、スティーブンは「うるさいな」と彼の脛に軽く蹴りをいれた。

「あーっ! 番頭がレオに暴力ふるったー! パワハラだパワハラ!」
「あっ、すまん。つい体が勝手に」
「いってぇえええ!! でもザップさんに庇われても何も嬉しくねぇ!」

ンだとこの陰毛! と毎度よろしくレオナルドに乗りかかるザップを、ツェッドがひきはがそうとする。その間も脛を抑えるレオナルドに申し訳程度の謝りを入れ、スティーブンは前に向き直った。変な顔? 百戦錬磨のこの俺が? そうこうしているうちに事務所に到着し、スティーブンはがちゃりと扉を開けた。
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