Magic Green!!!本編 | ナノ
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03.

牙狩り本部の中でもトップクラスの実力を持つ集団がいる。

その集団、いや一族と言っていいだろう。名を”ロロカリアン”という。

はるか昔、牙狩りが生まれたその時代から血界の眷属を狩る為に地上に君臨し、多くのBBを捉えてきた生粋の”魔法使い一族”である。”対「血界の眷属」特化型人間兵器”を呪術や訓練、修行でなく血縁によって生み出すため、”人と人外を彷徨う血族”とさえも言われている。

主な戦闘方法は、そのまま”魔法”。魔力を自身の血液に変えて生成し、対BB専用の特殊魔法”ロローク”を作り出す。それは強力極まりない代物で、手練ともなれば低級のBBであれば即粉砕、そして抹殺することはできなくとも数百年の眠りにつかせることは可能である。

それ程の強い力を持つ集団は、勿論紐育大崩落直後にここヘルサレムズロットに駆けつけ、程なくして”シャミアニード”と呼ばれるロロカリアンだけの秘密結社を創設する。牙狩り本部から派生した、ライブラとは所謂兄弟分とも言える間柄の魔法機関であった。

ロロカリアンという一族のみで営まれているため、規模はライブラよりいくらか小さい。しかし、何百年、もしくは千年以上続く一族であり、異性間のどちらかがロロカリアンであれば、生まれる子供は必ずロロカリアンという恐るべき優生種であった彼らの頭数は、千人の両手両足の指でも足りない程に膨れ上がっていることは言うまでもない。

では、なぜシャミアニードの規模は小さいのか?

答えは簡単だ。シャミアニードに所属していない、もしくは、「自分がロロカリアンであることさえ知らない」者が増えすぎてしまっているのである。

牙狩りとしての正統な意思を継ぐロロカリアンは、もはやその全体数の10分の1にも満たない。この数百年の間で、人は増えすぎたのだ。世界の命運を左右するであろう貴重な戦力の卵達は、もはや70億を超えた一般大衆のなかに散り散りになっていて、全て見つけ出すことは困難なのである。

そして、それだけ数が増えれば、全員が純粋な”ロロカリアン”という訳にはいかなくなってくる。

突然変異とも言っていいだろう、ロロカリアンのなかでも群を抜いて特異体質の人間が一握りではあるが存在する。それが”グルズヘリム”だ。
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