Magic Green!!!本編 | ナノ
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「#幼馴染」のBL小説を読む
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02.

「目標は?」
『高速で北北東に移動中。どうやらセントラル消失公園に向かっているようです』

チェインの報告を聞いて、スティーブンは心の中で舌打ちした。やはり、目的はレオナルドか。少年の保有する神々の義眼は、一部の闇の人間からすれば、至高の芸術作品だ。どんな手を使ってでも手に入れようとする輩は無数にいるが、その中でも今回の馬鹿野郎は、飛び抜けて最低だった。あろうことか血界の眷属を雇い、HL中を暴れさせて、レオナルドが現れるのを嬉々として待ち構えているのだ。我々が全く居場所を掴めないところで。
血界の眷属の現れるところに、レオナルド有り。この秘密を共有しているのは、ライブラの中でも、ごく一握りの構成員だけの筈。情報を流したのはあいつか、それともあいつか。スティーブンは怪しい人物をピックアップしながら、レオナルドとクラウスがいるセントラル消失公園へ向かった。
チェインにはその後もBBを追いながら馬鹿野郎の居場所を突き止めてもらうのに尽力してもらう。ザップとツェッドは、先程BBが暴れ回った際に生み出された無数のグールを片付けている真っ最中だ。K.Kには遠距離からその二人の援助射撃を頼んでいる。クラウスがレオナルドと一緒にいる時点である程度大丈夫なところはあるが、それでもやはり敵は血界の眷属。牙狩りが現場に多くいるに越したことは無い。長老級でないだけ喜ぶべきか。
それにしてもこの街の住人ときたら、BBが破壊して回ったビル群からわんさか溢れ出すグールに恐れ逃げ惑うどころか、わざわざ路上に出てまでして傍観している。全く好奇心だけは旺盛な一般人達だ。こちらとしては、出来れば家で大人しくしていてもらいたいものだが。

(いた!)

人ごみをかき分けて、ようやくセントラル消失公園の入口にたどり着いたスティーブンは、遠くにクラウスと、先程チェインから連絡の入っていたBBが対峙しているのを見つけた。よく見るとそのさらに奥の茂みから、見知った猫毛の少年の顔が覗いている。おそらくバレているだろうが、敵とレオナルドの間にはクラウスが立ち塞がっているから、最悪の事態は免れられるだろう。スティーブンはクラウスの動きに合わせて応戦しようと、徐々に足先に冷気を集めていった。

(先に動くのは、どっちだ)

瞬間、BBがその真っ赤な羽を広げて、レオナルドめがけて一直線に飛んだ。すかさず反応したクラウスが、ガチンコの肉弾戦を繰り広げ始めたのを見計らい、スティーブンは走り出す。

「エスメラルダ式血凍道……」

ランサデルセロアブソルート!

脚に氷の槍を生み出し、スティーブンの蹴りが空を斬った。
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