Magic Green!!!本編 | ナノ
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07.

「いやぁ〜お前本当に損してんのな! チビ!」

ゲラゲラ笑いながら勿体ねぇ勿体ねぇと腹を叩くクズ。

「いや、ほんと吃驚したよ! あれが本当のアユな訳!?」

すっげ〜! 結界はんぱねぇ! いやいい意味で! と感嘆の声を上げるレオ。

「僕にはイマイチ、ヒューマーの好みは理解出来ないというか」

髪色以外、何がどう変わったのかよくわかりませんでした……としょんぼりするツェッド。

アユは今、どうにも恥ずかしくて消えてしまいたいと思っている。結界を張っていない、素の状態を見られてしまった……いや、髪色と目の色と、あとちょっと色々な所以外は、殆ど何も変わってない筈なのだけど。

「お前絶対黒髪の方が似合ってんよ。そのゆるふわ〜な感じがいいって奴もそりゃいるぜ? が! しかし! 日本の女ってのは、黒髪ストレート黒い瞳のおしとやか〜ヤマトナデシコなもんだと思ってる奴の方が圧倒的に多い! ジャパニーズビューティーは男の理想だ! つまりな……お前は結界を張らなきゃ、ここでは死ぬほどモテる」

最後の方だけ無駄にカッコよく締めようとしたザップの背中をぽこぽこと叩きながら、アユは必死で忘れてくださいと頼み続けた。彼女はあの直後にすぐ結界を再発動させ、今ではもういつも通りに栗色の髪をふわふわと流していた。

「結界は無くちゃダメなんだからしゃーないっすよ。でもむやみやたらにあの姿を晒すと、悪い虫が付きかねないなぁ」

とくにこのSS先輩とかな!

妹を持つ兄として、アユのような年下の女の子はどうにも放っておけないというのがレオの本音である。彼の当分の私的な仕事は、アユの身辺警護(主にザップから守るため)に決定した。このクズは、いつ彼女の目の前で意図的に技を使うかもかわらない。

「しかし、見た目どうこうを除いても、よっぽど切羽詰っていない限りは結界は解除しない方がいいと思います。アユさん自身の防御力が0になってしまう訳ですから」
「そーだね。少なくともこの先輩の前では解除しないことを勧めるよ」
「馬鹿丸出し陰毛大王様よ、安心しろぃ! 俺はこんなちんちくりんには興味ねーよ」

その言葉が信じられねーから言ってんでしょーが! アンタ女性は広く等しく大好きだろ!
ザップに食ってかかるレオナルドをぐぐぐぐ、と制止して、アユは無理やりサブウェイに押し込んだ。

「とりあえずあれは忘れてください! 恥ずかしくてやってられませんから! それにもうとっくの昔にお昼休みは終わってます!」
「そうですね、早く買って帰りましょう。番頭の苛立ちが頂点に達する前に」

それもそうっすねー、とレオナルドはザップの方を見やる。ザップはあぁ、そーかとポケットの中をごそごそさせて、硬直する。

「メモ無ぇ……さっきぶっ飛んだ時だ」
「え!? 何俺のせいっすか!?」
「読めないにしても唯一の手がかりだったのに……」

どーする、どーする……怒られる、エスメラルダされる…やだやだやだやだやだやだ… …
悶々とする3人を差し置いて、アユはレジにかけていった。

「あっコラ、チビ!」

ザップが止めたがもう遅い。店員を捕まえてちゃっちゃと話を進めていくアユを、3人はあ、これ終わった。と思いながら見ていた。

「ご注文は?」

「えーっと……」

フットロングターキーブレストウィートホースラディッシュソースホットペッパーオニオントマトピクルス多めレタスピーマンオリーブ少なめクリームタイプチーズアボガドダブルミートをトーストで

「これ5つください!」

アユはそう言って後ろを振り返り、ジェスチャーでこう告げた。

「1人7ゼーロずつです。はやく」


「……嘘だろ、完璧じゃないか」
「チビがずぇぇーんぶ覚えてたんすよ、番頭ぉ〜。あの嫌がらせ呪文みたいなオーダーを!」
「……へぇ」
「魔法陣覚えるのに比べたら……朝飯前でした!」
「……ッ!」
「えー! 何今のアユっちめっちゃかわいい〜! もっかい笑って〜!」
「K.Kさんいつの間に!? 笑うぐらいならいくらでもしますよ!」
「……! ……ッ!」
「ぎゃー! な、なぜにさっきまで無駄口叩いてたザップさんが氷像になってんすか!?」

To be continued…
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