Magic Green!!!本編 | ナノ
×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
06.

スティーブンに言われて、自室に入ったアユは、いそいそとベッドにもぐった。仕事も何も、とりあえずこの時差ぼけを無くすところから始めなければならないのだが、やはり疲労には勝てない。体力温存、これからもっと忙しくなるよね。そう自分に言い聞かせて、アユは目を閉じた。

ほんとに、アメリカに来ちゃったんだなぁ……

言語の壁はほとんどないが、日本との文化の違いについていけるか、かなり心配していた所があった。元々世界中を回っていた訳だし、大崩落以前の紐育にだって、観光で訪れたこともあったのだが、日本に6年間住んで、その間どこにも行かなかったのだから、アユはほぼ純日本人と変わらない価値観を持つようになっていた。
HL入りが確定してから、アユは親の転勤という名目で、高校を休学した。仲のいい友達に紐育に行くことを知らせると、それはもう泣かれて、友人を失いたくないと必死で引き止められた。

紐育ってあの、HLでしょ!? ダメだよ、アユ、死んじゃうよ!

あの時はそんな風に心配してくれる友達が出来ていたことに改めて気付かされて、ちょっと思いとどまってしまったくらいだ。それでも結局、全く引き下がらなかった私を見て、友達は仕方ない、この頑なな所もアユだよねー、と言って、今度は背中を押してくれた。帰ってくる時はお土産よろしくという、まだ行ってもいない人への言葉ではないような気もするのもあったなぁ。日本にいた頃のことが凄く遠い日々のように思えて、アユはぼうっとした。

『ねぇねぇアユ! HLも今は一応アメリカだし、外国人もいるよね〜!』
『う〜んいるかなぁ? 私は宇宙人みたいなのがほとんどって聞いたけど』
『それでもちょっとはいるよぉ! あ、アユ! もし向こうですっごいイケメン見つけたらさ、写真送ってよ!』
『え、え〜? 多分、そうそういないよ。外国人に夢持ちすぎだって』
『でもさ〜やっぱり? ハリウッドスターみたいな長身で、キリッとしてて、アクションとかしちゃうのに甘いマスクで……っていう人を想像するだけで楽しいんだからさぁ〜』

まさか同じ職場に、友達の条件とぴったり重なる人がいるとは。でもごめん、ここは秘密結社だから、写真は送れないなぁ……
そう呟いて、アユはもう一度深い眠りに入っていった。
To be continue…
prev next
top