03.

程なくしてツェッドは水槽、アユは自室に戻り、クラウスとギルベルトも帰宅した。スティーブンは最後の戸締りと火の元の確認を済ませ、今日一日の出来事を振り返っていた。
自分の治癒能力の高さに驚かされた半月間を過ごし、早朝に退院して本部に向かい、年端のいかない少女がライブラにやってくることに驚き、正直舐めてかかっていた少女がクラウスに全く物怖じしなかったことにも驚き、ゲルダ婆の提示したエギンウイルスの情報とグルズヘリムの可能性に大層驚き、ジャパニーズテクニックの集結した箸に驚き、最後にアユの真の才能を知って驚いた。
驚くべきことだが、今日一日、驚いてしかいない。そのことにも驚いている自分がどうにもおかしくて、こんな日は死ぬまで来ないかもな、と笑って、スティーブンはライブラ本部を後にした。

＊
「うぉおおーー！！ PSQ3……！！ 俺はお前を死ぬほど待ってた……ありがとう、アユ……バイト死ぬほどやって、必ず返済します……」
「キー！！ キキキ！！」
「うわっ、なんだよソニック！ 今からPSQ3を……」
「キキーッ！！ ウキュ、キキ！！」
「だーっもう！ 何！？ 窓の外……？」
ガラガラガラ
「ん……？ ってぇえええええ！！ ……嘘だろ……！！ ここに来てまさかの、」

区画、クジ……だと……！？

「大家デス。ココハ現時点カラ、極上すぃーとるーむニナリマシタ。40秒デ支度シナ！ ソシテ出テケ！」
prev next
top