Magic Green!!!本編 | ナノ
×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
07.

「っあーもー! サイアクったらありゃしない!」

バン! と勢いよく開かれたライブラ本部の扉からズカズカと大股で入ってきたのは、金髪に黒い眼帯が映えるスレンダーな美女、K・Kである。

「ごきげんようミスK・K。タオルをどうぞ」
「あら、ありがとうギルベルトさん。……ったく、出勤ついでにユキトシの職場にお弁当届けに行こうとしたら、イタリアのちっさなマフィアの小競り合いにひっかかっちゃって……」

返り血のようなものを多少浴びてしまったらしい彼女は、いつにもまして険悪なムードで愚痴をこぼした。

「大丈夫か? ……ああ、むこうのDブロックの方でやってたやつだろ? 大したことはなさそうだったけど……」
「腹黒男に心配なんてされたくもないわよ! 大人しく道を空けろって一発ぶっぱなしたら、ホントに大人しくなっちゃうんだからますます馬鹿馬鹿しいわ。で、結局お弁当は血だらけだし」

彼女がかかえていた青いチェックのマットで包まれたお弁当は、ドロリと赤黒く染まっていた。なるほど、確かにこれでは旦那さんも受け取れまい。

「仕方ないから今日は何か買ってもらわなきゃ……ってクラッち、どしたのなんか今日怖いわよ?」
「む、そう思わせてしまったか……すまないK・K」

クラウスから発せられるただならぬ気配に気付いたK・Kは、少し身じろぎした。申し訳なさそうに背を丸めるクラウス。その直後、ピロリンと音を立てて彼の目の前に鎮座するパソコンにメールが入った。送信者は”シャミアニード”である。


『孫娘がそちらに到着したようじゃ。今からそちらへ参上しよう            D    』


「うむ……到着したようだ」
「はぁ、ついにおいでなすったか……」
「え!? 何よ、今日だっけ!?」

クラウスが立ち上がったのと同時に、スティーブンのスマホに通知が来る。『入口解除済。2名入』ザップと少年と新入りで、3人の筈だが……とスティーブンは首をかしげたが、とりあえずどのメンバーとも違う気配がするため、当の本人で間違いないだろう。いないのはすぐに女目当てで姿をくらますザップであろうから、ここまでレオと未成年の少女でやって来たということだ。いかにもチンピラの格好の餌になりそうな2人ではないか。ほぼ予定通りにここにたどり着いたのは、奇跡なんじゃ……
そんなことをスティーブンがぼんやりと考えている間に、ガチャリと扉が開き、前が見えないほどの紙袋の山を抱えたレオナルドと、その後ろで赤いトランクを引いて控えめにこちらを伺う少女が現れた。
prev next
top