「私も直感のアリスなの。一緒だね」


そう言うと櫻野くんは正に「驚いた」表情になったがすぐに笑顔に戻った。

私は直感のアリスだと学園でできた友人に言うと、櫻野くんも直感のアリスだよと教えてくれた。
顔は見たことがなく、今はじめて見た。これが櫻野くんか。驚くほどに美形。


「へー、珍しいアリスだね」
「今更になって発覚するとか有り得ないよね」


わざとらしく深いため息をつく。
嫌な奴と思われたかもしれない。そう思ったが櫻野くんはすごく楽しそうにニコニコしている。


「まぁ来てしまったものは仕方ないんだからさ。開き直って学園生活楽しみなよ」


この後もしばらく櫻野くんと話をしていた。見た目に反してトゲトゲサバサバとした性格で話しやすい。もっと王子様のようで取っ付きにくい性格だと思っていたから少し驚いた。






「山下さんって良い子だね。
殿内付き合ってたんだって?あー、勿体ないなぁ。あんな美人で良い子を彼女にしてたのに浮気して山下さんを傷つけたままアリス学園に来るなんて。
浮気なんてせず誠実な態度だったらアリス学園に居たって山下さんを引き止めておけただろうに」


至極楽しそうに櫻野は一気にそう言った。
最初はぽかーんと阿呆のように口を開けて櫻野の声を聞いていたが、いやいや待てよと全身から汗が噴き出す。


「は?ななな何で櫻野が知って、え、ていうか、浮気とか知って…いやそもそも何で櫻野…」
「落ち着けよ。山下さんが話してくれたんだ」
「…綾子と櫻野って仲良いいの?」
「お友達かな」


学園に来て俺と口も聞いてくれない目も合わせてくれない綾子が、櫻野にペラペラとそんな事を話しただなんて。出会ってすぐだろ、こいつ等。

昔は自分の事を話したがらない性格だったのに。


「まぁ殿内は自業自得だよ」
哀れなものでも見るかのような目をしている櫻野に、こんな感情を抱く日がくるとは思ってもいなかった。






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