どうやら明良の女癖は直っていないようだ。


明良と遭遇して1ヶ月。

私は明良と目を合わせないようにしていたし、なるべく近づかないようにしていた。


「綾子ちゃんって頭いいよね」
「え?あぁ、まぁ一応大学に行きたくて勉強してたから…」
「へぇー」


友人はチンプンカンプンといった顔。

エスカレーター式のエリート学校、アリス学園でずっと過ごしてきたんだろう。大学に入るにはどれだけ勉強しなきゃいけないか分かっていないんだなコノヤロウ。

頭が恐ろしく悪い私は死ぬ気で勉強をしていた。

楽な道を進むためお馬鹿な高校に入学した私は、学校の授業レベルでは大学進学なんて望めなかったので空き時間はひたすら勉強をした。先生も協力して私のために個別授業なんかしてくれた。

それなのに、私はアリス学園にきてしまった。全てがパーだ。イライラする。
たとえ私の学力でいける大学よりこのアリス学園の方が将来安泰でも、努力が水の泡になった事には変わりはない。


「あの〜」


後ろから控え目な声がした。
振り返るとまさかの明良だ。

「あー殿、どうしたの?」


私に話しかけたのか、友人に話しかけたのかはわからないが、友人は明良と会話を始めた。明良は誰とでも友達なんだろう。
私は明良と話す友人を置いて逃げる事にした。事情は後で説明する。いや、説明する事はないけど。とりあえずここには居たくない。


「あ、ちょ、綾子」


明良が慌てて私の名前を呼ぶ。聞こえないふりをしてその場を去った。

やっぱり、私に話しかけたのか。







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