「櫻野くんはチーズケーキが好きそうだねね」


真っ白の病室の真っ白なベッドに座り真っ白の箱の中身を見ながら僕に問いかける。

「うん好きだよ」
「やっぱり?」


嬉しそうに笑って箱の中からチーズケーキを取り出して「はい」と差し出す。

僕は彼女からありがとうと言ってチーズケーキを受け取り彼女は自分のぶんのケーキを選ぶ。

モンブランが一番好きなんだ。そう教えたあの日の事も覚えてないんだね。


「じゃあ私は無難にショートケーキでいいかな」


真っ白なケーキの上に乗せられたイチゴがおかしいくらいに真っ赤だった。


「…美味しいかい?」
「うん」



ニッコリ笑う笑顔だけが同じ。

それだけじゃ君とは言えないのに。












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