「ぐぇ」

カエルが潰れたような鳴いたような声がした。

眠りからは覚めていたが、目を開ける事もなくそのままもう一度寝ようと寝返りを打った所だった。
そうしたらカエルの声。


昨晩は暑くて窓を開けて寝ていたからカエルが入り込んだのかもしれない。

(あぁ、潰してしまったのか…)

うんざりしながら目を開ける。
潰してしまったカエルに申し訳ないと思いつつ、気持ち悪い最悪と頭の中で嘆きながら体を起こし掛け布団を剥いだ。



「……ナマエ?」

カエルより随分大きい、自分と同い年の女。ナマエだ。

「んぅ…」

眩しいのか眉間にしわを寄せてもぞもぞと布団の中に潜っていくナマエ。可愛い…なんて全く思わず布団を勢いよく剥がした。

驚いたらしいナマエはくわっと目を開けて体をちょっと起こす。


「…なんで俺のベッド…ていうか部屋に居るんだ?」
「おはよう昴ー」


体をぽすりとベッドに倒したナマエはそのまま俺にぎゅっと抱きついてきた。
質問はシカトか、聞こえていなかったのか。もはやどっちでもいい。


「……」


すやすやと気持ちよさそうに眠っている。起こすのは可哀想。だが、


「おい。遅刻するぞ」
「ん〜」

別に遅刻しそうな時間ではない。準備をし出さなければいけない時間までまだあと1時間以上はある。

どうやって部屋に入ってきたかを知りたかったが、起きる気は全く無いらしいナマエを見ているとそんなのどうでも良くなった。


自分ももう一度ベッドに体を沈めた。
ナマエは目をゆっくり開けて口角を釣り上げた。

「あれ〜?今井くんも二度寝とかするんですねぇ」

楽しそうにクスクスと笑いながらぴったりと体をくっつけてきた。

「いいだろ。次起こす時は起きろよ」
「はぁい」


胸元にあるナマエの髪の毛をサラサラと撫でる。あぁ、眠くなってきた。

ふわふわと遠のく意識を引き止める事もせず、そのままゆっくり2度目の眠りに入っていった。













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