日常からいきなり非日常に追いやられる。そもそも私の日常ってなんだったのだろうか。


ちょっと過去を振り返ってみる。


九歳の時に交通事故にあった。ひどい事故だったらしい。生きている事や手足が全てくっついている事は奇跡と言われる程。

私は事故にあった日から目を覚まさず、何年も寝たきりというか、ただ生かされているだけの植物状態だったらしい。
不思議な事に、私はただ深い深い眠りに入っているという状態と何も変わらなかったらしい。何をしても目を覚まさず、ずっと死んだように何年も寝ていたらしい。

全てが「らしい」なのは聞いた話だからだ。

そんな私は十七歳で奇跡的に意識を取り戻した。二度めの奇跡。
寝たきりだったので筋肉をつけるためのリハビリをし、大きな後遺症もない私は退院し普通の人間としての日常を手に入れた。それもまた奇跡と言われた。


その矢先、だ。


私はまた意識を失った。原因はわからない。だって私は意識を失っているのだから、原因を知る事は出来ない。


というかいつ死んでもおかしくはなかったのだろう。あれだけの事故を九歳で経験し、何年も目を覚まさなかったのだ。

目を丸くした医者に、驚く程に健康体と言われたって、やはりどこかおかしかったのだろう。


事故にあう前に仲が良く、私の目覚めを待っていてくれた友人は数人しか居なかった。
私は少ない友人とたまに遊び(といっても我が家でお喋り程度だが)、本を読みネットを好んだ。
勉強も沢山した。


いつか学校に通い友人を沢山つくるのが夢だった。
小さな夢だけど、そんな夢を叶える事さえ出来ない。次こそ死んでしまうのだろうか。
不思議な感覚だ。


奇跡奇跡と言われ続けた私はまた奇跡を起こすのだろうか。
それとも、運を使い切ってしまいぽっくりいくのだろうか。


不思議な、感覚だ。






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