こんな若くして二面性のあるトムは将来きっとハゲる。あぁ、事実か。トムは、というかヴォルデモートはハゲているんだから。

だから若いうちに苦労するもんじゃないんだよ。




「最近成績が良いみたいだな」


昼食が終わり次の授業がある教室に行こうとしていると「おいバカ」と呼び止められた。もちろんトムから。もちろん人の居ない廊下で。

トムから褒められたら!と感動していると「変身術の授業でコガネムシをゴキブリに変えるなんてすごいじゃないか!」と物凄い笑顔でトムは続けた。

確かあの授業はコガネムシをボタンに変えるのが課題だった。


「…ミネルバが教えてくれるの」


私は若いマクゴナガル先生をミネルバと呼ぶようになった。ファーストネームだ。
最初は抵抗があったが(私の中でマクゴナガル先生はマクゴナガル先生だから)、向こうはユメコと呼んでくれていて、私だけファミリーネーム呼びというのもおかしいなと思い頑張ってみた。もう慣れたが。


「ミネルバって、あいつか」
「きっとそいつだよ」


ミネルバはトムの次に頭が良い。だからトムも知っているのだろう。

なんだか不機嫌なトム。綺麗な顔が歪んでいる。あまり良い展開にはならなさそうだ。


「あんまりグリフィンドールとは仲良くしない方がいい」
「でた、スリザリン生のグリフィンドール嫌い」
「嫌いさ当たり前だろ。あいつら無鉄砲に行動してるだけなのに、勇敢だなんて言われるんだ。結果ろくな事にもならないのに。
あいつ等はただのバカだ、おかしい。何をしたらどうなるかもわからない猿以下のくせに」


いつもグリフィンドールの生徒ともニコニコ笑いながら話す奴とは思えない言いぶり。あの笑顔の下でこんな事を考えているだなんて、人は簡単には信用出来るものではないな。


「だけどグリフィンドールの女の子が、リドルくんはスリザリンなのにグリフィンドール生にも優しい!流石リドルくんだわ!って言ってたよ」
「当たり前だろやっぱりバカだな、あ、そのグリフィンドール生もだけどユメコの事を言ったんだよ今のバカは。
誰にだって優しくするさ、表向きはね」


綺麗な唇からつらつらと吐き出される毒々しい言葉に目眩を覚える。







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