孤児院に帰るとキャシーが飛びついてきた。会いたかったという彼女に申し訳なくなる。
私はホグワーツでの生活で何回彼女を思い出しただろうか。




「懐かしいね」
「二度と来たくなかったけどな」


孤児院に帰ってくると私とトムにはそれぞれ小さな部屋が用意されていた。昔使っていた部屋は、今は違う子が使用している。

今まで孤児院でもホグワーツでも大部屋だったので1人部屋は新鮮だ。


「だけどここしか帰る場所はないじゃん」


そう言うとトムはギロリと睨んできた。何を言ってくるか身構えていたがトムは無言。この空気には耐えれないので私から口を開いた。


「事実だよ仕方ない」
「…君変わってるよね」


機嫌がすごく悪そうなトムは言う。


「トムに言われたくないね。安心して、トムも十二分に変わってるよ」
「僕は変わってるんじゃない特別なんだ」
「特別じゃないよ。トムの力は魔法じゃない。魔法使いはたくさん居るし」
「蛇と話せるやつは居ないし、僕は同級生の中で抜きん出て頭が良いし魔法が上手い。五年生レベルの魔法だって使えるし」


大人びているというか、学校では背伸びをしているクールなトムがこうやってムキになって言い返してくる。

なんだか勿体ない生き方をしているな、と感じるも嬉しくなる。


「なにニヤニヤしてるんだよ気持ちが悪い」
「可愛いと言いなさいよ」


私しか知らないトムの素顔。
このまま楽しいだけの毎日を送る事が出来たら良いのに。






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