あれからすぐ、殿内が幼女を連れ込んだ!と幹部生候補達と教師が校内を走り回っていた。


「やぁ今井くん妹さんの具合はどう?」
「…………変わらず」


生徒会室に入ると昴が資料をパラパラと捲っていた。


「蛍ちゃんについてなくていいの?」


そう聞くと昴は鼻で笑って資料に目を通した。

適当にそこらへんにあった椅子に座る。そして適当にそこらへんにあった資料を手に取るが、当たり前のように面白味はなく、捨てるように机に置いた。


「……帰ってきて二回、秀のアリス使ったんだけど、やっぱり私は秀と相性悪いみたい」
「お前は誰とでも相性悪いだろ」
「静音ちゃんとはバッチグーですよ?やっぱり心の距離感っていうのが関係してしまうんですかねえ」
「山之内のアリスはお前の中にはないだろう」


昴の鋭いツッコミに笑うしかない。


さっき机に置いた資料を再び手に取りパラパラと捲る。目線も意識もそこにはないけれど。


「蛍ちゃんは昔の昴に似て綺麗な顔してるよね」
「変な事言うな」
「照れてる!」
「違うそれ以上喋ると殴るぞ」
「あれ?誰かきた?」


ガチャガチャとドアノブが回る音がした。
秀かな?とも思ったがドアノブが鍵によってスムーズに開けられている音ではないのと、今現在の時刻からしてそれはないなと思った。


「じゃあ、私はいこっかなー」


面倒には巻き込まれたくない。

さっさと帰ろうと立ち上がったが、ちょっと遅かったようで楽しそうな声と共に数人が生徒会室に入ってきた。


「…あれ、春希さん」


今度こそ翼とばっちり目があった。
ヤバい、と顔に浮かべられた。失礼な。


翼達がいる入り口付近にはついたてが有る為中は見えない。中には私よりヤバい昴が居るんだな、と少し同情する。


「なーにしてるのー!ここは用のない生徒は立ち入り禁止ですよ!」
「いやこれは」


たじろぐ翼をからかうのはここまでにしてあげよう。


「じゃあね」


翼達が何かを言う前に、片手を挙げて小走りで生徒会室を出た。


途中秀に出会ったがこいつもまた生徒会室に行くのだろう。「お疲れ」なんて適当に言って別れた。








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