クリスマスパーティー当日。
既に浮かれきっている生徒を役員が落ち着かせている間、秀はぼんやりと明後日の方向を見ていた。
「緊張ですか秀一くん」
「緊張?僕が?」
もうしばらくしたら開会式。秀がこんな事で緊張するような人間ではないとはわかっているが、暇だしからかってみた。
静音ちゃんは今居ないし。
「何もおきなきゃ良いけど」
「クリスマスねぇ」
無礼講なんて。羽目を外したら生徒会が処理をしなきゃいけない事になる。そんなのごめんだ。
なぜ秀はこんなにも不安そうなのか。虫の知らせだろうけれど、何か感じてる筈。
つまり何かある筈だ。
「あー、でもどうだろね」
「ん?」
いきなり、それはそれはもう楽しそうな顔になり声も弾ませ秀が話し出した。何か変な事を考えている顔だな。
「…何がどうだろなの?」
恐る恐る聞いてみる。こいつの企みは読めない。
「え?あは、こっちの話」
悪戯好き。猫かぶり。性悪。
落ち着いたようにみえて、昔から変わっていない所だ。
昔の写真を撒こうか。いや、そんな事をしたら私がもう二度と学園を顔だして歩けないような事をされるだろう。やめだ。
「なにー?気になる!!言えー!!! 」
「あ、ほら、噂をすれば」
「噂?」
誰の噂もしていないけど。なんて思いながら秀の目線を辿るとブスくれた表情の昴。
「バカ共の収集は終わったぞ」
「お疲れ」
なかなかに骨が折れる作業だったようで昴は深く溜め息をついた。眉間にも皺が寄っている。
そうこうしている内に帰ってきた愛しの静音ちゃんに尻尾を振って絡みに行く。
秀も昴と開会式の打ち合わせか向こうで何か話しているし、私も開会式までの残り時間を静音ちゃんと楽しく話す事にした。
開会式が始まる寸前、こちらを向いた秀が口パクで何かを言った。
(ーーーーよい、クリスマスを?)
どういう意味だろうか。
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