広い食堂で一人食事をするのは想像以上に寂しい。


翌日から私の魔女っ子生活が始まる。
まずは箒を使った飛行訓練。



「足を離さない!!!」
「は、はいっ」

それは想像通りの難しさ。
箒に跨がると今にも地面から離れてしまいそうな足。

「そう、いいですよ。じゃあ実際に浮いてみましょう」

フーチ先生も私の隣で箒に跨がる。

「じゃあ足を離して!まだ浮くだけですよ!飛んじゃダメです」
「う、わ、無理無理無理」


そんな箒から落ちたりもした飛行訓練を終え次は呪文学の授業だ。


「おや、ミスカワウチですね。これはこれは可愛らしい東洋のお嬢さんだ」
「…は、はじめましてフリットウィック先生」

小さい。

「今日はまず簡単な浮遊呪文をやりましょう。そこの羽を浮かせますよ。杖を持って、呪文はこうです‘ウィンガーディアム・レビオーサ’」
「ウィン…?」
「ウィンガーディアム・レビオーサ。振り方はこうです。びゅーんひょいです」

先生の発音と杖の振り方を真似てそこにある羽に杖を向ける。

「ウィンガーディアム・レビオーサ」

するとふよふよと羽が浮く。すごい魔法だ。魔女っ子だ。

「おぉー上等上等。優秀ですね」

呪文学は飛行訓練より簡単かもしれない。自分が飛ぶか物を飛ばすかの違いは大きいようだ。



しかし魔法薬学は難しかった。
思えば理科の実験は苦手だった。料理も苦手だ。


「まさかこんな簡単な調合で鍋を爆発させるとは、ミスカオリは手先が器用なようで」
「…光栄です先生」
「また1から始めるとしよう」

2度目は無事成功した。



「難しいんですねこの授業」
「容量が悪いだけじゃなかろうか」
「先生の教え方が…」
「この教え方でも鍋を爆発させない生徒は沢山居ましたがな」
「冗談ですよ」
「真に受けたといつ言ったかな?」
「……」


まだわからないスリザリンの寮への道をスネイプ先生と歩く。


「明日も先生の授業はありますか?」
「嫌か?」
「いいえ。飛行訓練の授業よりはマシです」
「授業は比べる物ではない」


左様でございます。
そう言うと寮についた。

「じゃあ先生また明日」
「今日やった事を忘れないように」
「お休みなさい」
「…えらい早寝なようで」


くるり。
ローブを翻して歩く姿は昨日よりなんだか魅力的だった。







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